著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Multidisiplin Madani

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ペストはイタリア・ジェノバの伝統料理に由来するソースで、緑色やハーブの香り、味わいの中心となるのがバジルの葉です。そのためバジルの割合を変えると、ペストらしさそのものが変わってしまう可能性があります。

一方、料理や食品の分野では、地域で手に入る食材を取り入れた新しい製品づくりが重視されています。その方法のひとつが、従来の材料の一部だけを地元の食材に置き換える「部分置換」です。著者らは、たんぱく質やミネラル、ビタミン、ポリフェノール類などを含み、食品素材として期待されているモリンガ(ワサビノキ)の葉に注目しました。ただしモリンガは独特の色や香り、味を持つため、量によっては好まれにくくなるおそれがあります。

そこで研究チームは、ペストのバジルの一部をモリンガの葉に置き換え、どの割合なら食べる人に最も受け入れられるかを調べました。

何をどのように調べたか

研究チームは、ハーブの合計量を20gに固定し、そのうちモリンガが占める割合を25%、50%、75%とした3種類のペストを作りました。つまり、モリンガとバジルはそれぞれ5gと15g、10gと10g、15gと5gです。松の実、ニンニク、パルメザンチーズ、塩、オリーブオイルといったほかの材料と作り方はすべてそろえ、違いがハーブの配合だけになるようにしました。モリンガの葉はどの配合でも短時間ゆでてから氷水で冷やし、下処理の条件を統一しています。

評価には、学生、ティーチングアシスタント、大学教員、ホテル従業員の計125人が参加しました。参加者はどのペストがどの配合かを知らされない状態で、色、食感、香り、味の4項目を「とても嫌い(1点)」から「とても好き(5点)」までの5段階で評価しました。このように好き嫌いの度合いを点数で答えてもらう方法は、嗜好(しこう)評価と呼ばれます。

主な結果

4項目の平均を合わせた総合点は、モリンガ50%のペストが4.07で最も高く、25%が3.91、75%が3.40でした。5段階評価では4点が「好き」にあたります。

50%のペストは、色(4.20)、食感(4.02)、香り(4.02)、味(4.04)のすべての項目で3種類の中で最も高い点を得ました。たとえば色については、参加者の52.8%が最高評価の5点をつけています。

著者らによると、25%ではバジルの特徴が強く残り、50%ではバジルとモリンガの釣り合いがとれ、75%ではモリンガの特徴が前面に出ました。モリンガが多いほど評価が上がったわけではなく、最も多い75%で評価が最も低くなっています。論文は、75%ではモリンガの香りが強くなりすぎたことや、苦みが増したことが好まれにくさにつながったと述べています。

なお、この研究は平均点などで傾向を示したもので、配合の違いによる差が統計的に意味のあるものかを確かめる検定は行っていません。著者らも、50%は「この研究条件のもとで最も好まれる傾向があった配合」と位置づけています。また、色や食感は機器で測ったものではなく、参加者の感じ方にもとづく結果です。

研究が示すこと

この研究は、ペストのバジルをすべて置き換えるのではなく半分程度をモリンガにすることで、伝統的なペストらしさを保ちながらモリンガの特徴を取り入れられる可能性を示しました。著者らは、地域の食材を料理に生かす取り組みの出発点になる結果だとしています。一方で、製品化の前には、成分や安全性、保存性、より幅広い人々からの評価などを確かめる必要があるとも述べています。

原著論文の著者・所属:Taufik Rahman(Universitas Asa Indonesia)、Yanti Nirmala(Universitas Asa Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Taufik Rahman, Yanti Nirmala. Partial Substitution Optimization of Moringa Leaves for Genovese Basil in Pesto Sauce: Sensory Acceptance Analysis. Jurnal Multidisiplin Madani 2026-09-30. DOI: 10.55927/mudima.v6i9.121. 原著ライセンス:CC BY.