著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:University of Massachusetts (UMass) Amherst

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: DataCite

研究の目的

バジルの仲間であるメボウキ属(オキムム属)の植物は、香りのよい精油を含み、料理や化粧品、医薬品に使われてきました。伝統医学でも利用され、人に病気を起こす細菌に対する抗菌作用が以前から知られています。

研究チームは、この属のうちライムバジルなどの名で知られるオキムム・アメリカヌムと、一般的なスイートバジルであるオキムム・バシリクムの2種を取り上げました。同じ種の中でも系統によって含まれる成分は異なると考えられており、抗菌作用にも差があるかを調べることが目的です。試験には、食中毒の原因菌として知られる腸管出血性大腸菌O157:H7(EDL 933株)を用いました。著者らによれば、アメリカヌムの今回の系統を使った抗菌性の調査はこれが初めてです。

何をどう調べたか

研究チームは、米国農務省の植物遺伝資源の保存事業から、2種それぞれ3系統、合計6系統の種子を入手しました。系統とは、由来や遺伝的な特徴によって区別して管理されている植物の集団のことです。これらを畑で育て、花が咲く時期に収穫しました。

新鮮な葉を有機溶媒のジクロロメタンに数分浸して成分を溶かし出し、濃縮して抽出物を作りました。抽出物は最大1000マイクログラム毎ミリリットルまでの複数の濃度に調整し、大腸菌の培養液に加えました。

細菌が増えると培養液が濁るため、その濁り具合を光の吸収量として時間を追って測定し、増え方の曲線を描きました。抽出物を加えなかった培養液と比べて、増殖がどれだけ抑えられたかを割合で示しています。試験はそれぞれ3回ずつ行い、統計的に比較しました。

主な結果

論文によると、試したすべての系統と濃度で、抽出物は大腸菌の増殖を抑えました。抽出物を加えなかった培養液では菌が急速に増えました。これに対し、アメリカヌムの抽出物を加えると、菌が盛んに増え始める時期が3〜4時間ほど遅れ、とくに最も高い濃度で顕著でした。その後、菌は再び増え始めましたが、増殖量は抑えられたままでした。

系統ごとに見ると、アメリカヌムではPI 500945という系統が最も強い効果を示しました。最高濃度の1000マイクログラム毎ミリリットルで、増殖を39.6%抑えています。バシリクムではNSL 6421という系統が最も強く、同じ濃度で34.2%の抑制でした。

2種を比べると、アメリカヌムのほうがバシリクムより全体に高い抗菌作用を示したと報告されています。また、種の間だけでなく、同じ種の系統の間でも統計的に意味のある差が見られました。濃度が高いほど抑制はおおむね強くなりました。ただし、低い濃度でも抑制の割合は大きくは下がりませんでした。たとえばPI 500945は、試した最も低い濃度でも36.5%の抑制を示しています。

この研究が示すこと

この研究は、身近なハーブであるバジルの仲間でも、種や系統によって大腸菌O157:H7への作用に違いがあることを、実験室での試験として示しました。著者らは、これら2種が天然の抗菌物質の候補として有望だと述べています。

一方、今回の結果は培養液中の細菌に抽出物を加えた試験によるもので、人の体内での効果を調べたものではありません。また、抗菌作用をもたらしている具体的な成分は、この研究では特定されていません。著者らは、系統による精油成分の違いが作用の差に関わっている可能性を指摘しています。

原著論文の著者・所属:Manjula Bomma(Department of Biological sciences, Alabama A&M University)、Usha Devagiri(Department of Natural Resources and Environmental Sciences, Alabama A&M University)、Leonard L. Williams(Department of Natural Resources and Environmental Sciences, Alabama A and M University, Huntsville, AL)、Srinivasa Rao Mentreddy

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Manjula Bomma, Usha Devagiri, Leonard L. Williams, et al. Comparison of In Vitro Antibacterial Activity of Ocimum Genotypes against Escherichia coli 0157:H7 (Edl 933). University of Massachusetts (UMass) Amherst 2026-09-28. DOI: 10.7275/jmap.3986. 原著ライセンス:CC BY.