著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。
掲載誌:Fisheries
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:計画献立から魚料理の位置づけを探る
研究チームは論文の序論で、世界の多くの国が所得水準にかかわらず、学校での基本的な(無償の)温かい食事の提供に関心を寄せていると述べています。子どもの頃に十分な栄養をとることは、生涯にわたる健康と幸福につながるとされます。著者らによると、子どもの集団給食では、学校の献立が毎日の食事を支えるだけでなく、長く続く食習慣も形づくります。その中で魚料理は、におい、味、食感、骨、見た目、提供時の温度などを理由に、子どもが食べない可能性が高い料理とされています。著者らの以前の局所的な調査では、7〜11歳の子どもの54%が、魚料理を食べない理由の一つに不快な魚のにおいを挙げていました。
また、献立表に魚料理が載っていても、実際に調理され、配膳され、食べられたとは限りません。デジタル化された献立データには、魚の種類、レシピ、1人分の原料重量、調理による目減り、食べ残しの情報が含まれていないこともあります。
この論文の主な目的は、2025〜2026学年度にロシア各地域から連邦児童生徒栄養モニタリングセンターの情報システムへ送られた集計データを使い、学校の計画献立のうち魚料理の記録がどれくらいの割合を占めるかを推定することです。あわせて、小学1〜4年生が申告した魚料理の好みを整理し、7〜11歳の子どもに魚料理を提供する場合に必要な完成料理の量をシナリオとして試算しました。
何をどのように調べたか
研究チームは、計画献立の集計資料と、子どもが好きな主菜の魚料理に関する地域別データを用いて記述的な分析を行いました。分析の単位は、計画献立に料理が組み込まれたことを示す「記録」です。人数や食べた量ではありません。
情報システムには約3万9000か所の登録給食施設が含まれていました。分析対象は、冷菜・前菜が108万9683件、スープが105万6013件、主菜となる温かい料理が98万1070件です。
さらに、78の地域について、魚料理の好みの地域差を、すでに公表されている「子どもの生物学的発達の速さ」の分類と比べました。この分類は身長や年間の身長の伸びと関連する指標です。必要量の試算は、7〜11歳の児童963万674人、授業期間35週を前提にしています。
主な結果
冷菜・前菜のうち、魚料理と正しく判別できたものは0.245%でした。スープでは、「魚の」という語で識別できた記録が2.825%、ロシアの伝統的な魚スープ「ウハー」という語で識別できたものが0.835%でした。両者を単純に足すと3万8653件、スープ全体の3.66%になります。
主菜では、互いに重ならない3つの魚料理カテゴリーで計11万9875件の記録が見つかり、確認できた最小の割合は12.22%でした。主原料を判別できた魚・鶏肉・肉の3グループの中では、魚が30.01%、鶏肉が36.45%、肉が33.54%を占めました。カツレツ類の記録に占める魚のカツレツの割合は約23.8%でした。
地域別の好みの調査では、回答者の平均16%が「魚のカツレツ」を、11%が「魚」を好きな料理に挙げました。「魚のカツレツ」の割合が最も高かったのはタタールスタン共和国とトゥバ共和国で、いずれも31%でした。研究チームは、ゼロや低い値については集計データであることを踏まえて慎重に解釈したと述べています。
発達の速さによる地域グループとの比較では、魚料理の好みとの間に明確な傾向は見られませんでした。著者らは、この比較は探索的なものにすぎず、個人の継続的な身体測定データを使っていないため、魚料理が子どもの成長に影響することを裏づけるものではないとしています。
必要量の試算では、毎週1回90〜120gの魚の主菜を提供すると、1学年度で完成料理として約3万300〜4万400トンが必要になります。2週に1回の提供なら、約1万5200〜2万200トンとなります。これは原料の魚の量ではなく、完成した料理の量としての試算です。
この研究が示すこと
著者らは、計画献立の集計データから分かるのは、提供が予定された料理の中で魚料理がどれくらいの割合を占めるかであって、子どもが実際に魚をどれだけ食べているかではないと結論づけています。
魚の原料がどれだけ必要かを見積もるには、計画献立と、実際の調理・配膳、子どもの選択、食べた量、食べ残し、標準化されたレシピ、魚の種類を一貫してつなげて記録する仕組みが必要だと研究チームは指摘しています。今回の結果は、計画上の「提供予定」と実際に「食べられた量」を区別して考えることの大切さを、大規模な献立データから示したものといえます。
原著論文の著者・所属:A. T. Vasyukova(Plekhanov Russian University of Economics; V.I. Vernadsky Russian State University of National Economy)、K. V. Krivoshonok(Federal State Budgetary Institution "Center for Population Hygiene Education" of Rospotrebnadzor)、N. M. Portnov(Federal State Budgetary Educational Institution Federal Center for Nutrition Monitoring of Students)、M. L. Sherstobitov(Digital-Pro Tech LLC)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A. T. Vasyukova, K. V. Krivoshonok, N. M. Portnov, et al. Fish dishes in aggregated data of planned school menus in the Russian Federation: share of records, stated preferences and scenario need for ready fish dishes for children aged 7-11 years. Fisheries 2026-09-24. DOI: 10.36038/0131-6184-2026-4-147-163. 原著ライセンス:CC BY.