この研究は、台湾の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Future Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
細胞培養シーフード(動物の細胞を培養して作る魚介類の代替食品)は、従来の漁業に代わる持続可能な選択肢として注目されています。しかし、台湾のようにこの製品がまだ市場に登場していない段階の地域では、消費者が受け入れるかどうかを決める要因がよく分かっていません。
研究チームは、こうした市場の初期段階にある台湾を対象に、どのような認識や期待が購入意向につながるのかを明らかにしようとしました。台湾は魚介類を重視する食文化を持つ地域であり、著者らはその文脈のなかで消費者の評価を検討しています。
何を調べ、どう分析したか
著者らは「認知・感情・行動」の枠組みを手がかりに、購入意向に関わりうる5つの要素を取り上げました。環境面での持続可能性、食品安全への信頼、技術に対して感じるリスク、「自然らしさ」の感じ方、そして味への期待です。
台湾の消費者304人を対象にアンケート調査を行い、構造方程式モデリングという手法で分析しました。これは、複数の意識や期待が互いにどう結びつき、最終的な購入意向にどうつながるかを統計的にたどる方法です。
報告された主な結果
論文によれば、消費者の受容と主に結びついていたのは、味などの感覚的な期待よりも、「実利的な信頼」にあたる要素のほうでした。具体的には、環境面での持続可能性への意識と、食品安全に対する信頼です。
また、味への期待、自然らしさの感じ方、技術リスクの認識は、いずれも有意な影響を示しませんでした。著者らは、市場が発展の初期段階にある現時点では、これらの要素は消費者の評価にあまり影響していない可能性があると述べています。
ただし著者らは、台湾では細胞培養シーフードへのなじみが薄く、実際に食べた経験もないため、この結果は初期段階の市場という文脈のなかで解釈すべきだと注意を促しています。
この研究が示すこと
著者らは実務的な観点として、規制に関する透明性の高い情報、食品安全の保証、環境面での利点を明確に伝えることが、消費者がより情報に基づいた評価を形成する助けになりうると指摘しています。
味の良さを訴える前に、まず信頼をどう築くか。論文の題名が示すこの順序は、まだ実物に触れたことのない食品をめぐって消費者が何を手がかりに判断しているのかを考える視点を提供しています。
著者:Li-Jie Su(Department of Health Industry Technology Management, Chung Shan Medical University, Taichung, 40201, Taiwan)、Han‐Shen Chen(Department of Health Industry Technology Management, Chung Shan Medical University, Taichung, 40201, Taiwan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Li-Jie Su, Han‐Shen Chen. Trust before taste: cognitive and affective drivers of cell-based seafood acceptance in Taiwan. Future Foods 2026-09-22. DOI: 10.1016/j.fufo.2026.101198. 原著ライセンス:CC BY.