著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Teknik dan Manajemen Industri Pomosda (JTMIP)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、インドネシアの寄宿制イスラム教育施設Pomosdaの学生や教職員の好みに合う、ほぐした鶏肉入りの容器詰めサンバル「Sambal Sersan」の開発に取り組みました。サンバルは唐辛子を使った調味料です。同施設では食事にサンバルが添えられると人気が高まり、事前の聞き取りでも、そのまま食べられる容器詰め商品への関心が確認されていました。
研究の目的は、消費者の要望を製品の設計条件に置き換える「品質機能展開(QFD)」を用いて商品を設計し、試食による評価と採算の分析を通じて、地域の消費者に受け入れられる商品になるかを調べることでした。
何を、どのように調べたか
研究はPomosdaで実施されました。研究チームは、製造前の学生への聞き取りで商品の要望を集めました。また、想定する購入者層を代表するように選んだ学生や教職員など30人を対象に、試食評価と、価格・容器の大きさに関する質問紙調査を行いました。
集めた要望を優先度別に整理し、要望と製造上の条件の関係を対応表にする「品質の家(House of Quality)」を使って、調理工程で重視する項目を決めました。試作品は鶏胸肉、唐辛子、油、香味野菜や香辛料などで作り、内容量115グラムの容器に詰め、1回に10個を製造する規模としました。
試食では、辛さ、味のバランス、香り、鶏肉やサンバルの食感、色、全体の見た目、総合的な好ましさを評価しました。評価尺度は1点の「非常に良くない」から4点の「非常に良い」までです。さらに、原材料、容器、基本的な運営費から製造原価を算出し、売上と費用の比率や損益分岐点を分析しました。地域市場での商品の位置づけも検討しました。
主な報告結果
消費者の要望のうち、優先度が高かったのは、辛味・うま味・塩味のバランス、保存料を使わない状態での日持ち、1個15,000~20,000インドネシアルピアという手頃な価格でした。これらを製造上の条件に置き換えた結果、研究チームは、香辛料などの調味材料を加熱する時間、火の通り具合、油の使用割合の3項目を最優先としました。
30人による試食評価では、全評価項目の平均は4点満点中3.2点でした。全体の見た目は3.6点、色は3.4点、総合的な好ましさは3.3点でした。一方、味のバランス、サンバルの香り、鶏肉の食感はいずれも3.0点でした。著者らは、試作品はおおむね良好に受け入れられたと評価しています。
採算分析では、1個当たりの製造原価は17,500ルピア、販売価格は20,000ルピアと報告されました。売上を費用で割った比率は1.14で、研究チームは初期の小規模事業として経済的に成立すると判断しました。論文が報告した損益分岐点は70個、製造7回分でした。
研究チームは、この商品をPomosdaの地域市場では導入期にあると位置づけ、施設内に絞った流通や、口コミを中心とする販売方法が適していると述べています。
この報告が示すこと
著者らは、QFDを既存商品の改善だけでなく、新商品を最初から設計する枠組みとしても使えると結論づけています。消費者の「どのような商品が欲しいか」という要望を、調理工程で管理する具体的な条件へ結びつけた点が、この研究の中心です。
一方、著者らは、設計時の目標と実際の製品との間に、油の量や調味材料の火の通り具合で隔たりがあったことも指摘しています。材料の量や加熱の仕上がりを数値で明確に定める必要があるとしており、要望を設計に取り入れるだけでなく、製造時にその条件を再現することも課題として示されました。
原著論文の著者・所属:Khoirul Anwar(Sekolah Tinggi Teknologi Pomosda Nganjuk)、M. Muafiq Yazid Soleh(Sekolah Tinggi Teknologi Pomosda Nganjuk)、M. Wahyu Satria Ardana(Sekolah Tinggi Teknologi Pomosda Nganjuk)、Siti Hidayaturrahma(Sekolah Tinggi Teknologi Pomosda Nganjuk)、Deny Kurniawati(Sekolah Tinggi Teknologi Pomosda Nganjuk)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Khoirul Anwar, M. Muafiq Yazid Soleh, M. Wahyu Satria Ardana, et al. Perancangan dan Pengembangan Produk Sambal Ayam Suwir Menggunakan Metode Quality Function Deployment (QFD). Jurnal Teknik dan Manajemen Industri Pomosda (JTMIP) 2026-11-02. DOI: . 原著ライセンス:CC BY.