著者の所属・活動拠点の国は、モロッコ、サウジアラビア、フランスです。
掲載誌:Frontiers in Food Science and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、ラクダ乳をケフィア粒で発酵させた製品について、モロッコの消費者がどのように受け止め、飲みたいと考えるかを調べました。あわせて、デーツ(ナツメヤシの実)の抽出物を加えることで、製品の成分や粘り、味や香りがどう変わるかを検討しました。背景には、モロッコ南部の食文化に根ざしたラクダ乳を活用し、消費者になじみのある風味を備えた発酵乳を開発するという狙いがあります。
何を、どのように調べたか
研究チームは、モロッコの各地域から計1,009人が回答したアンケートで、乳製品の摂取習慣、発酵乳への知識、ラクダ乳ケフィアを飲む意向などを調べました。また、回答者の年齢、性別、教育歴、居住地と、知識や飲用意向との関連を分析しました。
製品の実験では、低温殺菌したラクダ乳に発酵の種となるケフィア粒を加え、20℃で18時間発酵させました。無添加、デーツ抽出物入り、砂糖入りの3種類を用意し、酸性の程度を示すpH、酸の量、粘度、成分組成などを調べました。
味や香りの特徴は、訓練を受けた12人が評価しました。さらに、ベニメラルで募集した消費者118人を対象に、9段階の好みの尺度を使って受容性を評価し、デーツ抽出物入りと砂糖入りの評価を比較しました。
主な報告結果
消費者による評価では、デーツ抽出物入りの平均点が9段階中6.144点で、砂糖入りの4.966点より統計的に有意に高かったと研究チームは報告しています。
訓練を受けた評価者による試験でも、デーツ抽出物入りは香りや全体的な風味、好ましさなどで高い評価を得ました。無添加の発酵乳と比べ、風味を付けた製品は甘さが強く、酸味は弱く感じられました。また、著者らは、デーツ抽出物の添加によって製品の物理的・化学的な特性も有意に変化したと報告しています。
アンケートでは、ラクダ乳ケフィアの消費はまだ限られ、その主な理由として情報不足、入手しにくさ、食習慣になっていないことが挙げられました。ラクダ乳の栄養的特徴について情報を得ることは、飲用意向が前向きになることと関連していました。著者らは、こうした回答上の関連を、情報提供による因果的な効果とは区別しています。
この報告が示すこと
著者らは、デーツ抽出物を、ラクダ乳ケフィアの風味を整える天然の原料として有望だと位置づけています。この報告は、ラクダ乳とデーツという地域資源を組み合わせ、発酵乳の選択肢を広げる可能性を示すものです。
ただし、消費者評価の結果をモロッコ全体にそのまま当てはめることはできないと著者らは述べています。また、この研究では、微生物学的な安全性や発酵に関わる微生物の生存状態、保存中の微生物学的な安定性は評価していません。味や好ましさの評価と、製品の安全性の確認は別の課題として残されています。
原著論文の著者・所属:Charaf Dlimi(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)、Yassine Zine-Eddine(Multidisciplinary Laboratory in Exact and Applied Sciences, Higher School of Technology Fkih Ben Salah, Sultan Moulay Slimane University)、Omar Ait El Alia(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)、Morad Kaddouri(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)、Morad Oubouali(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)、Aziz Galman(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)、Abdelaaty A. Shahat(Department of Pharmacognosy, College of Pharmacy, King Saud University)、Joe Miantezila Basilua(Department of Biostatistics and Mathematics, Faculty of Pharmacy, Paris Cité University)、Rashed N. Herqash(Center for Research on Medicinal, Aromatic, and Poisonous Plants, DSR, King Saud University)、Khalid Boutoial(Laboratory of the Engineering and Applied Technologies, Higher School of Technology, Sultan Moulay Slimane University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Charaf Dlimi, Yassine Zine-Eddine, Omar Ait El Alia, et al. Kefir-fermented camel milk: physicochemical characteristics, sensory evaluation, and consumer behavior in Morocco. Frontiers in Food Science and Technology 2026-11-04. DOI: 10.3389/frfst.2026.1928545. 原著ライセンス:CC BY.