日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:Journal of Natural Pesticide Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ニジュウヤホシテントウは、幼虫がジャガイモの葉を食べることで収量を大きく減らすことがある害虫です。研究チームは、化学合成農薬に代わる防除手段を探るため、ブラックプラムとも呼ばれるムラサキフトモモ(学名Syzygium cumini)の葉からエタノールで成分を取り出した抽出物が、この害虫にどの程度効くかを調べました。

ここで紹介する内容は、論文の抄録に記載された研究目的・方法・結果に基づいています。

どのように調べたか

試験は、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター(札幌市)の畑で、晩春に植え付けたジャガイモを対象に、2025年5月19日から8月6日まで行われました。

比較したのは、ムラサキフトモモの葉の抽出物、化学合成農薬のペルメトリン(3.2 EC製剤)、そして対照としてのジメチルスルホキシド(DMSO)の水溶液の三つです。DMSOは成分を溶かすために使われる溶媒で、抽出物を含まない比較用の処理にあたります。

畑の条件のばらつきの影響を減らすため、区画をブロックに分けて各処理を無作為に配置する「乱塊法」という設計が用いられました。各処理は3回繰り返され、1回の繰り返しは10株で構成されていました。さらに、抽出物にどのような成分が含まれるかを、液体クロマトグラフィー質量分析という成分分析の手法で調べています。

主な結果

著者らによると、抽出物を散布した区では、対照と比べてニジュウヤホシテントウの被害(寄生)が統計的に有意に少なくなりました。減少の割合は、播種後50日で71.43%、58日で52.94%、66日で47.62%、73日で63.33%と報告されています。

収量については、抽出物の区で対照比14.06%、ペルメトリン比11.68%という数値が抄録に示されており、統計的には同等であったと記されています。

成分分析では、生物由来の農薬(生物農薬)の候補となりうる物質として、アカセチン-7-O-ルチノシドとアモルフィゲニンの二つが暫定的に同定されました。ただし、これらがどの程度効果に関わっているかは、抄録の範囲では示されていません。

研究が示すこと

研究チームは、ムラサキフトモモの葉の抽出物がニジュウヤホシテントウに対して高い生物農薬としての活性を示したとし、環境にやさしく持続可能で低コストな、有害な化学農薬の代替となる可能性があると結論づけています。植物由来の抽出物を害虫対策に生かす選択肢の一つとして、実際の畑で効果を確かめた報告といえます。

原著論文の著者・所属:Mst. Samia Sultana(Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, Hokkaido 060-8589, Japan)、Naoto Shimizu(Research Faculty of Agriculture, Hokkaido University, Hokkaido 060-8589, Japan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mst. Samia Sultana, Naoto Shimizu. Efficacy of black plum (Syzygium cumini L. Skeels) leaf extract against the 28-spotted potato ladybird (Henosepilachna vigintioctomaculata) on field-grown potatoes. Journal of Natural Pesticide Research 2026-09-28. DOI: 10.1016/j.napere.2026.100238. 原著ライセンス:CC BY.