著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Plants
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
抵抗性育種に使える材料を探す
研究チームは、ジャガイモの根に寄生するジャガイモシストセンチュウへの抵抗性を持つ育種材料を探すため、418点の品種・系統を調べました。抵抗性遺伝子に関連するDNAの目印を検出し、その結果が実際の圃場での抵抗性と対応するかを確かめることが目的です。
この線虫は根から養分を奪い、生育不良や葉の黄化、しおれを引き起こします。土壌中で長期間生き残るため、防除には抵抗性品種の利用が重要です。研究では、中国の品種・育成系統や国際ばれいしょセンター由来の材料を対象にしました。
最も多かった目印と、圃場で有効だった遺伝子
著者らは、H1、Gpa2、Gro1-4という三つの抵抗性遺伝子に関連するDNAマーカーを使って調査しました。マーカーとは、目的の遺伝子を持つ可能性を調べる目印です。Gpa2に関連するマーカーは169点、全体の40.43%で検出されました。H1は60点の14.35%、Gro1-4は13点の3.11%で、Gro1-4のマーカーが検出された材料はすべて国際ばれいしょセンター由来でした。
圃場での抵抗性評価では、根に形成されたシストの数や、葉の黄化・しおれを調べました。H1のマーカーだけを持つ3品種と、H1とGpa2の両方のマーカーを持つ2品種は、すべての反復でシストが確認されず、高い抵抗性に分類されました。これらの品種では黄化やしおれも記録されませんでした。
一方、Gpa2のマーカーだけを持つ品種ではシストが形成され、H1を持つ品種と同じ防御は見られませんでした。著者らは、試験圃場で優占していたジャガイモシストセンチュウの一種、Globodera rostochiensisに対して、Gpa2だけでは十分な抵抗性を示さなかったと報告しています。これは、Gpa2が別種のG. pallidaに対する抵抗性に関わるという性質と一致する結果でした。
地域の線虫に合った抵抗性を選ぶ手がかり
研究チームは、今回の試験条件ではH1が有効であり、高い抵抗性を示した5品種は抵抗性育種の親材料として有用だと位置づけています。ただし、この研究では収量を体系的に測定していないため、結果は主にシスト形成と症状に基づく抵抗性の評価です。
今回の研究が示すのは、抵抗性に関連するDNAの目印の有無だけでなく、対象地域の線虫に対して実際に働くかを確かめる重要性です。マーカー調査と圃場評価を組み合わせることで、地域に合った育種材料を選ぶ手がかりが得られました。
原著論文の著者・所属:Xi Yang(College of Agronomy and Biotechnology, Yunnan Agricultural University, Kunming 650201, China)、Zongming Guo(College of Agronomy and Biotechnology, Yunnan Agricultural University, Kunming 650201, China)、Yanchao Yue(College of Agronomy and Biotechnology, Yunnan Agricultural University, Kunming 650201, China)、Baoyan Song(College of Agronomy and Biotechnology, Yunnan Agricultural University, Kunming 650201, China)、Huachun Guo(College of Agronomy and Biotechnology, Yunnan Agricultural University, Kunming 650201, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Xi Yang, Zongming Guo, Yanchao Yue, et al. Molecular Screening and Field Validation of Potato Germplasm for Resistance to Potato Cyst Nematodes. Plants 2026-09-01. DOI: 10.3390/plants15172686. 原著ライセンス:CC BY.