著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:OpenAlex

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

ナイジェリア南東部では、アカパラタ(Afzelia africana)、ウクポ(Mucuna sloanei)、アチ(Brachystegia eurycoma)、オフォ(Detarium microcarpum)という4種類のマメ科植物の種子が、昔からスープのとろみ付けに使われています。種子は粉にしてスープに加えられ、ガリやヤムイモをついた料理などと一緒に食べられています。

これらの種子が水を吸って膨らみ、スープを濃くすることから、食品に粘りや安定性を与える多糖類(ガム)を含むと考えられています。しかし、種子から取り出したガムの性質を、同じ条件のもとで比べた研究は限られていました。そこで研究チームは、種子の下処理の違いが、取り出したガムの「糊化特性」にどう影響するかを調べました。糊化特性とは、試料を水と一緒に加熱・冷却したときに粘りがどう変化するかを表す性質のことです。

どのように調べたか

研究チームは、地元の市場で入手した4種類の種子を割り、ゆでる(100℃で10分・20分・30分)、焙煎する(130℃で10分・20分・30分)、常温の水に浸す(8時間・16時間・24時間)という3通りの下処理を施しました。何も処理しない生の種子も用意し、比較の基準にしました。

処理後の種子は種皮を除いて粉にし、石油エーテルで脂肪分を取り除きました。そこからアルコールの一種である2-プロパノールを使ってガムを沈殿させて取り出し、乾燥させて粉末にしました。比較対象には、食品のとろみ付けに広く使われている市販のグアーガムを用いました。

粘りの測定には、試料と水を混ぜて決まった速さで加熱・冷却しながら粘度の変化を記録する装置(ラピッド・ビスコ・アナライザー)を使いました。粘度の単位はRVUで表されます。記録からは、加熱中に最も高くなった粘度(ピーク粘度)、その後に下がった最低値(トラフ)、両者の差で加熱やかき混ぜに対する崩れやすさを示すブレークダウン、冷却後の粘度(最終粘度)、冷却で粘度が再び上がる度合いを示すセットバック、粘度が上がり始める温度(糊化温度)、ピークに達するまでの時間などを読み取りました。

主な結果

論文の要旨によると、さまざまな処理を施した4種類の種子ガムの平均値をグアーガムと比べると、ピーク粘度とトラフはグアーガムより低く、ピークに達するまでの時間、糊化温度、セットバック、最終粘度はグアーガムより高くなりました。これは平均での比較であり、個々の試料がすべて同じ関係にあるわけではありません。たとえば、ゆでたオフォのガムのトラフ(3619 RVU)は、グアーガム(3371 RVU)を上回っていました。一方、グアーガムのピーク粘度は6096 RVU、ピークまでの時間は2.76分で、種子ガムのピークまでの時間はおおむね6〜7分でした。

種子の種類別では、オフォのガムがどの処理でもピーク粘度とトラフが最も高く、ピーク粘度はゆでた種子で4444 RVU、焙煎で3939 RVU、浸漬で3869 RVUでした。オフォのガムは糊化温度も4種類の中で最も低く、50℃台にとどまりました。セットバックはゆでたアチのガムが最も高く(4544 RVU)、ゆでたウクポのガムが最も低い値(1989 RVU)でした。

粘りが崩れやすい度合いを示すブレークダウンは、種子ガムではグアーガム(2726 RVU)よりずっと小さい値でした。また、処理の程度を強めると、種子ガムのセットバックやブレークダウンはおおむね低下したと報告されています。ただし、処理時間とピーク粘度の関係には一定の傾向が見られず、変動がありました。

研究が示すこと

デンプンを含む食品は、加熱後に冷えると分子が再び集まって硬くなる「老化(レトログラデーション)」を起こし、パンなどが固くなる原因になります。著者らは、下処理した種子から得たガムでセットバックやブレークダウンが下がったことを、グアーガムより安定した糊を作り、デンプン系の食品に加えたときに老化を遅らせる傾向がある可能性を示すものと解釈しています。

この研究は、地域で昔から使われてきたスープ用のとろみ種子について、下処理の方法と時間によってガムの粘りの性質が変わることを、市販のグアーガムと並べて示しました。身近な在来資源が持つ食品素材としての性質を、具体的な測定値で明らかにした報告といえます。

原著論文の著者・所属:B. C. Nwokeke(Department of Food Science and Technology, University of Agriculture and Environmental Sciences, Umuagwo, Imo State, Nigeria)、C. A. Nwachukwu(Department of Food Science and Technology, University of Agriculture and Environmental Sciences, Umuagwo, Imo State, Nigeria)、C. U. Obiesie(Department of Food Science and Technology, University of Agriculture and Environmental Sciences, Umuagwo, Imo State, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):B. C. Nwokeke, C. A. Nwachukwu, C. U. Obiesie. Effect of Processing Methods on Pasting Properties of Gum Extracts from Selected Soup Thickeners in South-East, Nigeria. OpenAlex 2026-08-31. DOI: 10.54117/3rfztf12. 原著ライセンス:CC BY.