掲載誌:Applied Food Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
マグロの加工では、製品にならない部分が副産物として出ます。研究チームは、こうした副産物をより価値の高い食品素材として活用するために、食品のとろみや形を保つ材料である「ハイドロコロイド(増粘多糖類)」がどのように働くかを調べました。
対象としたのは、グアーガム、キサンタンガム、こんにゃくの主成分として知られるコンニャクグルコマンナンの3種類です。これらを、マグロのすり身、大豆由来の組織状たんぱく、でんぷん、食塩を組み合わせた複合的な食品の生地に加え、それぞれの性質の違いを比較しました。
何を調べたか
抄録によると、研究チームは、材料を細かく刻んで混ぜる工程から、加熱調理、殺菌、保存までの各段階で、3種類の多糖類の働きがどう変わるかを追跡しました。
評価項目は、食感の硬さや弾力、色、水分を保つ力、加熱による重量の減少、型からの外しやすさ、油と水の分離の程度などです。さらに、生地の中で水がどのような状態にあるか、分子の構造、顕微鏡で見た内部の構造、加熱に対する安定性も分析しました。
主な結果
著者らは、多糖類ごとの構造の違いに応じて、働き方が異なることを報告しています。コンニャクグルコマンナンは水を抱え込む力が最も高く、乾燥重量の約81倍の水を保持しました。一方で熱には弱く、116℃の高温殺菌では生地の網目状の構造が崩れ、油と水の分離が起きたとされています。
グアーガムは、生地の表面に水を含んだ滑らかな層を作り、型に残る生地の量を1.23%に抑えました。また、グアーガムはキサンタンガムとともにゲルの網目構造を安定させ、30日間の保存中も油と水の分離を1.5%以下に抑えたと報告されています。
キサンタンガムは、生地の中で水を均一に分布させ、光の散乱を促すことで、製品の明るさを高めました。明るさを示す指標の値は最大49.23に達したとされています。
研究の意味
この研究は、水を抱え込む力や電荷、熱への強さといった多糖類の構造上の特徴を、複数の材料が混ざり合った食品の中での具体的な働きと結びつけて示しました。研究チームは、マグロ副産物を活用する食品で、目的に合わせて多糖類を選ぶための考え方の枠組みになるとしています。
原著論文の著者・所属:Peng Zhou、Haixia Yu、Xiaojun Zhang、Ephrem Habiyaremye、Long Xu、Xiaxia Chen、Shiguang Wang、Haitao Yu
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Peng Zhou, Haixia Yu, Xiaojun Zhang, et al. Engineering Validation of Hydrocolloid Performance in a Multi-Component Tuna-Based Composite Matrix: A Comparative Study for High-Value Utilization of Processing By-Products. Applied Food Research 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.afres.2026.102694. 原著ライセンス:CC BY.