ゼリーやとろみのある食品には、カラギーナンやキサンタンガムといった「ハイドロコロイド」と呼ばれる成分がよく使われています。ハイドロコロイドとは、水に溶けたり分散したりすると系の粘度を高める、親水性の高い物質の総称です。化学的にはアラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ペクチンなどの多糖類や、タンパク質がこれに含まれます。今回紹介する研究は、こうした成分が水だけと混ざったとき、あるいは砂糖やタンパク質と一緒に混ざったときに、食品の硬さや弾力、とろみといった性質がどのように変わるのかを調べたものです。

食品のテクスチャーは、ゲル化剤の種類や量だけでなく、一緒に含まれる糖やタンパク質との組み合わせによっても変化します。この研究では、ハイドロコロイド単体に水を加えた「二成分系」と、そこに砂糖やタンパク質をさらに加えた「三成分系」の両方を対象に、力学的性質とレオロジー的性質(変形や流動に関する性質)を比較しています。

研究でわかったこと

力学的性質はテクスチャー分析によって、レオロジー的性質は低い応力・一定温度のもとでの周波数掃引試験によって調べられました。二成分系・三成分系のいずれについても、力(平均6.00ニュートン)、コンシステンシー(平均60.79ニュートン秒)、見かけの弾性応力(平均0.08ニュートン/平方センチメートル)、見かけの弾性率(平均0.28ニュートン/センチメートル秒)といった平均値が得られています。

キサンタンガムを0.3%の濃度で溶かした溶液は、およそ10ヘルツ付近までは粘性的な性質(損失弾性率G″が貯蔵弾性率G′を上回る状態)が優勢で、それを超える周波数域では逆に弾性的な性質が優勢になることが示されました。また、キサンタンガムを含む溶液の弾性は、砂糖や他のハイドロコロイドの存在によって大きく左右されることも確認されています。具体的には、ショ糖やオボアルブミン(卵白由来のタンパク質)の濃度を高くするほど、弾性が強まる傾向が見られました。カラギーナンやキサンタンガムについては、これらの成分自体の濃度が増えるほど、弾性と粘性の両方の性質が強まる傾向があったとされています。

一方で興味深い点として、カラギーナン溶液にオボアルブミンやグルコースを加えても、その性質はほとんど変化しなかったことが報告されています。研究では、この結果を好ましいものと位置づけています。というのも、これらの添加物がカラギーナン本来の働きを損なうことなく、いわば保護的な役割を果たせる可能性を示しているためです。

この研究の位置づけ・読むうえでの注意

この研究は、特定の食品の健康効果や安全性を検証したものではなく、増粘多糖類やタンパク質・糖を組み合わせた際の力学的・レオロジー的な挙動を測定・比較したものです。得られた数値や傾向は、今回検討された条件下でのものであり、他の濃度や温度、他の食品成分との組み合わせにそのまま当てはまるとは限りません。一つの研究であり、結論が確定したわけではない点に留意が必要です。

まとめ

この研究では、カラギーナンやキサンタンガムといったハイドロコロイドが、水だけの系、あるいは砂糖やタンパク質を加えた系でどのような力学的・レオロジー的性質を示すかが調べられました。糖やタンパク質の濃度が高まるほど弾性が強まる傾向がある一方、カラギーナンにオボアルブミンやグルコースを加えてもその特性が損なわれにくいことが示唆されています。食品のとろみやゲルの質感がどのように作られているのかを理解するうえで、参考になる知見といえそうです。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Pedro Senga Zódima. THREE-DIMENSIONAL HYDRATED NETWORKS: AN INTEGRATED ANALYSIS OF THE MECHANICAL AND RHEOLOGICAL PROPERTIES OF CARRAGEENAN AND XANTHAN GUM GELS IN MULTICOMPONENT SYSTEMS. サウス・アメリカン・サイエンシズ (2026). DOI: 10.63330/sasciencesv6n2-121. 原著ライセンス: cc-by-nc-sa.