著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。
掲載誌:Journal of Natural Products Discovery
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
捨てられてきた種殻に注目した研究
ヒマワリの種は、重さの2〜3割ほどを外側の殻(種殻)が占めます。油を搾る前に取り除かれることが多く、油工場の燃料として燃やされるなど、廃棄物として扱われてきました。一方、これまでの研究では、種殻の抽出物に抗酸化作用や抗菌作用が報告されており、その働きは種殻に多く含まれるポリフェノールなどのフェノール化合物によるものと考えられてきました。
ナイジェリアの研究チームは、種殻のアセトン抽出物を性質の違いによって細かく分け、得られた各成分群(画分)が微生物の増殖を抑える働きと、抗酸化作用を持つかを調べました。
抽出物を段階的に分けて試験
研究チームは、ヒマワリの種から殻を外して乾燥させ、粉末にしたものをアセトンに浸して成分を取り出しました。この抽出物を、混ざり合わない複数の溶媒の間で振り分け、溶けやすさの違いに応じてヘキサン、酢酸エチル、ブタノール、水の各画分に分けました。さらに酢酸エチル画分を、シリカゲルを詰めた筒に通して溶媒の組み合わせを変えながら流し出す「真空液体クロマトグラフィー」という方法で、12の小さな画分に分けました。
抗菌作用は、ブドウ球菌の仲間2種、大腸菌、緑膿菌の4種類の細菌と、カンジダとアスペルギルスの2種類の真菌を対象に調べました。寒天培地にあけた穴に試料を入れ、その周りで微生物が育たない範囲(阻止円)の直径を測る方法です。抗酸化作用は、DPPHという色のついた不安定な分子(ラジカル)を試料がどれだけ消去できるかを測定して評価しました。
主な結果
論文によると、抽出物は1ミリリットルあたり10ミリグラムの濃度で、試験したすべての細菌とアスペルギルスの増殖を抑えましたが、カンジダには効果がありませんでした。阻止円の直径は9〜17ミリでした。酢酸エチル画分は、同じ濃度で6種類すべての微生物の増殖を抑えました。さらに、より低い濃度でも抽出物より強い抑制が見られ、黄色ブドウ球菌に対しては1ミリリットルあたり2.5ミリグラムでも効果がありました。ただし、比較対照として用いた既存の抗菌薬・抗真菌薬は、同じ濃度でこれらの試料より強い作用を示しました。
一方、酢酸エチル画分をさらに分けた12の小画分は、1ミリリットルあたり5ミリグラムの濃度では大腸菌の増殖だけを抑え、ほかの微生物には効果がありませんでした。著者らは、精製を進めると抗菌作用が失われたと述べています。
抗酸化作用については、DPPHの半分を消去するのに必要な濃度(IC50、値が小さいほど作用が強いことを示す)が、抽出物で1ミリリットルあたり22.96ミリグラム、酢酸エチル画分で17.23ミリグラムでした。12の小画分でも16.47〜32.67ミリグラムの範囲で消去作用が見られ、著者らはいずれも良好な抗酸化作用を示したと報告しています。
研究が示すこと
この研究は、廃棄物とされてきたヒマワリの種殻から得た抽出物や画分が、試験管内の実験で抗菌作用と抗酸化作用を示したことを報告しています。特に、抽出物を溶媒で分けた酢酸エチル画分では、抽出物より幅広い微生物に作用が見られました。著者らは、種殻が有用な資源になりうると結論づけていますが、今回の結果はあくまで試験管内の実験にもとづくものです。
原著論文の著者・所属:Agbo, Matthias Onyebuchi(University of Nigeria, Nsukka)、Chukwuma, Crescent Chukwudi
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Agbo, Matthias Onyebuchi, Chukwuma, Crescent Chukwudi. From Waste to Usefulness: Fractions from Seed Hulls Extract of Sunflower (Helianthus annus L.) possess Antimicrobial and Anti-oxidative Properties.. Journal of Natural Products Discovery 2026-08-19. DOI: 10.24377/jnpd.article3984. 原著ライセンス:CC BY.