著者の所属・活動拠点の国は、セルビア、クロアチアです。

掲載誌:Frontiers in Sustainable Food Systems

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

栽培だけでなく、加工や廃棄まで調べる

研究チームは、クロアチアのトマト生産について、栽培、加工、加工後に残る搾りかすの処理を通じて、どこで環境負荷が大きくなるのかを調べました。搾りかすを廃棄物として処理する場合と、有用な成分を取り出して資源として利用する場合の比較も研究の目的です。

用いたのは、原料やエネルギーの使用、廃棄物の発生などから環境への影響を見積もる「ライフサイクル評価」です。生産者10者と大規模加工施設1施設から集めた2024年のデータを基に、露地栽培と温室栽培、加工、搾りかすの処理を評価しました。温暖化への影響だけでなく、水の消費や富栄養化なども対象にしています。

栽培方法で異なる負荷と、エネルギーの影響

著者らは、露地栽培は温室栽培に比べて、全体として環境負荷が低いと報告しました。生鮮トマト1キログラム当たりの温暖化への影響は、二酸化炭素に換算して露地栽培で0.1468キログラム、温室栽培で0.2193キログラムでした。ただし、すべての指標で露地栽培が低かったわけではなく、水の消費を示す指標は露地栽培の方が高くなりました。

研究チームは、肥料の使用量が栽培段階の環境負荷を左右する一方、栽培から加工、廃棄物処理までを通じて、エネルギーの使用が特に大きな影響を持つとまとめています。

搾りかすの処理と、成分を取り出す方法を比較

搾りかすの処理では、焼却、埋め立て、堆肥化を比較しました。搾りかす1キログラム当たりの温暖化への影響は、二酸化炭素換算で焼却が0.2031キログラム、埋め立てが0.6610キログラム、堆肥化が0.0571キログラムでした。著者らは、堆肥化は多くの評価指標で負荷が低く、できた堆肥を利用できる点も挙げています。

さらに、搾りかすから植物由来の多糖類であるペクチンを取り出す方法として、従来の溶媒抽出と、マイクロ波を使う抽出を比較しました。1回の抽出処理当たりでは、マイクロ波を使う方法の方が、温暖化への影響などの評価指標で低い負荷を示しました。ただし、この比較では二つの方法で投入する搾りかすの量が異なります。また、廃棄物処理は搾りかす1キログラム当たり、抽出は1回の処理当たりの評価であり、両者の数値は同じ基準ではありません。

環境負荷を左右するのは、作り方と残さの扱い方

この研究は、トマトの環境負荷を考える際には、栽培方法だけでなく、加工や残さ処理に使うエネルギー、残さをどう利用するかまで見ることの意味を示しています。著者らは、調査対象の規模が限られるため、結果をクロアチアのトマト産業全体へ一般化するには制約があるとしています。その範囲で、搾りかすの扱いも環境負荷を左右する重要な選択肢として位置づけられました。

原著論文の著者・所属:Ilija Djekić(Faculty of Agriculture, University of Belgrade)、Nada Smigic(Faculty of Agriculture, University of Belgrade)、Tomislav Vinković(Faculty of Agrobiotechnical Sciences Osijek, Josip Juraj Strossmayer University of Osijek)、Božidar Benko(Faculty of Agriculture, University of Zagreb)、Branimir Urlić(The Institute for Adriatic Crops)、Dubravka Vitali Čepo(Faculty of Pharmacy and Biochemistry, University of Zagreb)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ilija Djekić, Nada Smigic, Tomislav Vinković, et al. Life-cycle assessment of tomato value chain—from farms to upcycling waste. Frontiers in Sustainable Food Systems 2026-09-16. DOI: 10.3389/fsufs.2026.1908474. 原著ライセンス:CC BY.