この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Current Research in Nutrition and Food Science Journal

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を明らかにしようとしたのか

低中所得国では、幼い子どもの栄養不良が、ビタミンDなどの微量栄養素の不足と重なって起こることが少なくありません。ただし、著者らによれば、入院を必要とするほど体調を崩した子どもについて、体格の測定値から判定される急性の栄養不良が、血液中のビタミンD濃度と足並みをそろえて低下しているのかどうかは、はっきりしていませんでした。

そこで研究チームは、インドネシア・マカッサルにある三次医療の紹介病院(高度な治療を担う中核病院)であるDr. Wahidin Sudirohusodo病院で、入院中の子どもを対象に、栄養状態とビタミンD濃度の関係を調べる横断研究を行いました。横断研究とは、ある時点の状態をまとめて測って比べる調査方法で、原因と結果の向きを確かめるものではありません。

どのように調べたか

対象は生後1か月から5歳までの子どもで、解析に含まれたのは80人でした。栄養状態は、身長(または身長を寝かせて測った長さ)に対する体重が同年齢の標準からどれだけ離れているかを示す指標(WLZまたはWHZ)にもとづき、栄養状態良好、栄養不良、重度栄養不良の3群に分けられました。この指標は、やせ(急性の栄養不良)の程度をとらえるものです。

ビタミンDについては、体内のビタミンD量を示す代表的な指標である血中の25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]をELISA法という測定法で量りました。群間の比較にはKruskal-Wallis検定、栄養状態の順序とビタミンD濃度の関係にはSpearmanの順位相関が用いられました。さらに補足的な解析として、年齢・性別・記録された消化器の問題を考慮しても関係が変わらないかが確かめられています。

報告された主な結果

25(OH)Dの中央値は、栄養状態良好群で44 ng/mL、栄養不良群で35 ng/mL、重度栄養不良群で47 ng/mLでした。群の間に統計的に意味のある差は認められていません(p = 0.686)。数値の並びを見ても、栄養状態が悪いほど低いという傾向にはなっていませんでした。

ビタミンD状態の分類では、80人のうち70人(87.5%)が正常、6人(7.5%)が不足、4人(5.0%)が欠乏で、重度の欠乏は確認されませんでした。欠乏の4人は、栄養状態良好群40人のうち2人、栄養不良群20人のうち1人、重度栄養不良群20人のうち1人と、いずれの群でも5.0%でした。

栄養状態の順序と血中25(OH)Dの相関はごくわずかで(r = -0.023、p = 0.841)、年齢・性別・消化器の問題を考慮した調整後もこの結果は変わりませんでした(p = 0.988)。

この報告が示すこと

著者らは、この入院中の集団では、やせにもとづく体格の分類とビタミンD状態との対応は限られていたと述べています。つまり、体格の測定値だけを手がかりにして、その子のビタミンD状態を推し量ることは難しいという内容です。なお、これは両者の関連の有無についての報告であり、どちらかが他方を引き起こすかどうかを示すものではありません。

著者らは今後の課題として、体格の測定ではとらえられない要素、とくに食事からの摂取、日光に関わる条件、過去のサプリメント使用、病気の重症度を検討する必要があると挙げています。

著者:Ayu Nurliyana Pratiwi(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)、Aidah Juliaty(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)、Idham Jaya Ganda(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)、Hadia Angriani(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)、Ema Alasiry(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)、Eka Yusuf Inrakartika(Department of Child Health, Hasanuddin University, Makassar, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ayu Nurliyana Pratiwi, Aidah Juliaty, Idham Jaya Ganda, et al. Association Between Vitamin D Levels and Nutritional Status in Hospitalized Children: A Single-Center Cross-Sectional Study at a Tertiary Referral Hospital in Makassar, Indonesia. Current Research in Nutrition and Food Science Journal 2026-08-31. DOI: 10.12944/crnfsj.14.2.27. 原著ライセンス:CC BY.