著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Advanced International Journal for Research

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

稚魚をどれくらいの密度で育てるのがよいか

シラゴ(学名 Sillago sihama)は、海水と淡水が混じる汽水域や沿岸に暮らすキス科の魚です。著者らによると、環境の変化に強く、成長が速く、食用魚としての需要も大きいことから、インドでは沿岸や汽水域での養殖候補として期待されています。

養殖を始めるには、まず小さな稚魚を一定の大きさまで育てる「中間育成」の段階が必要です。この段階で一つの区画に何尾入れるか(放養密度)は、魚の育ち方や生き残る割合、さらには採算にも関わります。インド・グジャラート州の研究チームは、シラゴ稚魚の中間育成に適した放養密度とその経済性を調べることを目的に、この研究を行いました。

池の中の網いけすで4段階の密度を比較

実験は、グジャラート州ナブサリにある大学の養殖場で、広さ1400平方メートルの汽水池を使って行われました。池の中に「ハパ」と呼ばれる網製の箱形いけす(縦2メートル、横1メートル、深さ1メートル)を20個設置し、これを実験の単位としました。

平均体重0.076グラムの稚魚を、1つのハパに250尾、500尾、750尾、1000尾の4段階の密度で入れ、各密度を5つずつのハパで繰り返しました。稚魚には市販の沈む配合飼料(タンパク質35%)を、魚の体重の5%にあたる量で与え、60日間育てました。

研究チームは毎週稚魚を取り出して体長と体重を測り、終了時には生残率、収量、飼料効率(体重を1増やすのに必要な餌の量を示す飼料要求率)、費用と収益を比較しました。水温、溶存酸素、塩分、pH、アンモニアなどの水質も記録し、期間中はいずれも魚の飼育に適した範囲に収まっていたと報告しています。

密度が低いほど一尾ずつはよく育ち、生き残った

論文によると、最も密度の低い250尾の区画で稚魚の成長が最もよく、密度が高くなるほど成長は小さくなりました。論文の表では、60日目の平均体重増加量は250尾区で0.740グラム、1000尾区で0.512グラムと示されています。体長の伸びや1日あたりの成長量も、250尾区が最も大きかったと報告されています。

生残率も密度が低いほど高く、250尾区では約88%、1000尾区では約82%でした。一方、飼料要求率は1.42から1.48の範囲で、密度による統計的な差は認められませんでした。

収量と収益は高密度で多く、成長とのかね合いが示された

一つのハパ全体でどれだけの魚が得られたかを見ると、傾向は逆になりました。入れる稚魚が多いほど収量は増え、1000尾区では1立方メートルあたり0.22キログラムと、4段階の中で最も多い収量が報告されています。

経済性の分析では、1000尾区が1立方メートルあたりの純利益で最も高く(1035ルピー)、250尾区が最も低い(282ルピー)結果でした。ただし、費用に対する収益の比率は1.00から1.07の範囲にとどまり、最も高かったのは500尾区でした。

著者らは結論として、低い密度で育てると成長と生残率が高まり、飼料効率も損なわれない一方、収量は高い密度の方が多かったとまとめています。この研究は、シラゴ稚魚の中間育成では、一尾一尾の育ちのよさと全体としての生産量との間にかね合いがあることを、具体的な飼育データで示したものといえます。

原著論文の著者・所属:Jesing Vanza、Ritesh Borichangar(Dept. of Fisheries Resource Management , College of Fisheries Science , Kamdhenu University , Navsari , Gujarat)、Haeshkumar Solanki(Dept. of Aquaculture , College of Fisheries Science , Kamdhenu University , Navsari , Gujarat)、Bhavini Tandel(Dept. of Aquatic Environment Management , College of Fisheries Science , Kamdhenu University , Navsari , Gujarat)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jesing Vanza, Ritesh Borichangar, Haeshkumar Solanki, Bhavini Tandel Growth performance of Sillago (Sillago sihama) (Forsskål, 1775) stocked at varying densities in hapa in brackishwater pond condition, Gujarat, India. Advanced International Journal for Research 2026-08-11. DOI: 10.63363/aijfr.2026.v07i04.7243. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。