著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:LWT

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

品種を「条件のひとつ」として扱う

パーボイルとは、もみの状態の米に水分と熱を加えてから乾燥させる加工で、米の品質を高める重要な工程とされています。これまで加工条件の最適化を目指した研究の多くは、米の品種を変わらない前提条件として扱い、品種が加工条件と品質の関係にどう影響するかには十分に目を向けてこなかったと、著者らは指摘しています。

そこで研究チームは、品種そのものを実験で変える条件のひとつに組み込み、品種によって最適な加工条件がどう異なるかを数量的に示すことを目指しました。

2品種と7つの品質項目を調べる

対象は、粒の長いインディカ型のハッサニ米と、粒の短いジャポニカ型のシャファク米です。蒸す工程と乾燥を流動層乾燥機で行い、7つの品質項目を調べました。流動層乾燥機は、下から送る熱風で粒を浮かせながら乾かす装置です。

実験の組み立てには中心複合計画という手法を使いました。これは複数の条件を計画的に組み合わせて変え、条件と結果の関係を曲線を含む数式(二次モデル)で表すための設計です。抄録によると、得られたモデルの当てはまりの良さを示す決定係数R²は0.83を上回りました。

同じ条件でも品種で結果に差

解析の結果、品質の反応には品種ごとの違いがあり、加工条件どうしの組み合わせ効果(交互作用)も統計的に有意だったと報告されています。

最適とされた条件のもとで比べると、ハッサニ米は精米後に割れずに残る米の割合(整粒歩留まり)が70.77%で、シャファク米の61.14%を上回りました。ひび割れの割合はハッサニ米が4.85%、シャファク米が15.01%でした。複数の品質目標をまとめて0から1で評価する総合的な望ましさの指標も、ハッサニ米の0.974に対してシャファク米は0.845でした。

最適な乾燥温度は両品種とも35℃で共通でした。一方、最適な蒸し時間はハッサニ米が11.7分、シャファク米が11.2分とわずかに異なりました。著者らはこの差を、品種ごとに加工中の変化の進み方が違うことを示すものとしています。

品種は加工設計の重要な要素

著者らは、この結果から、品種は単なる前提条件ではなく、加工条件を決めるうえで重要な設計要素であると結論づけています。加工条件と品種の三者にわたる交互作用を数量的に捉えるこの方法により、さまざまな米に合わせたパーボイルの手順づくりにつながると論文は述べています。同じ装置と工程でも、品種に合わせて条件を考える必要があることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Mandana Mahfeli(Biosystems Engineering Department, Tarbiat Modares University, Tehran, Iran)、Mohammad Zarein(Biosystems Engineering Department, Tarbiat Modares University, Tehran, Iran)、Mahdieh AbolHassani Zeraatkar

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mandana Mahfeli, Mohammad Zarein, Mahdieh AbolHassani Zeraatkar. Genotype-tailored parboiling: A central composite design reveals divergent optima for Hassani and Shafaq rice in a fluidized bed dryer. LWT 2026-07-30. DOI: 10.1016/j.lwt.2026.119777. 原著ライセンス:CC BY.