日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。

掲載誌:LWT

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

湿式の気流粉砕(水分を含んだ状態の米を、高速の空気の流れでぶつけ合って細かくする方法)で作られる米粉は、デンプンの損傷が少ないという特徴があります。ここでいう「デンプンの損傷」とは、粉砕の際にデンプンの粒が壊れることで、水の吸い方やパンの膨らみ方に関わる性質です。

この方法で作られた米粉は、流通に回す前に粉砕後の乾燥工程を経るのが一般的です。研究チームは、この粉砕後の乾燥、および冷凍保存が、米粉そのものの性質とグルテンフリーパンの品質にどう影響するのかを調べました。

何をどう比べたか

著者らは、同じ原料から同じ粉砕条件で作った米粉を三つの状態で用意し、比較しました。乾燥していない粉(未乾燥粉)、未乾燥のまま冷凍保存した粉(マイナス20度で2週間)、そして熱風で乾燥させた粉の三つです。

それぞれについて、水分量や粒の大きさ、水の吸い方、デンプンの損傷の程度などを調べ、さらに実際にグルテンフリーパンを焼いて、その品質を比べています。パンを作る際は、生地(バッター)の粘りが同程度になるよう、加える水の量を調整したうえで比較しています。

報告された主な結果

冷凍した未乾燥粉は、水分量が未乾燥粉と同程度で、粒の大きさはわずかに小さいほうへ寄っていたと報告されています。一方、乾燥した粉は水分量が低く、見かけの粒が大きく、粒どうしが固まったような状態になっていました。水を吸う速さは遅く、発酵中の生地の最大体積も三つの中で最も小さかったとされています。

デンプンの損傷の程度については、冷凍した未乾燥粉と乾燥した粉が同程度で、いずれも未乾燥粉より高い値でした。ただし、損傷の程度が同じでも、水を吸うときのふるまいは両者で異なっていたと述べられています。

焼き上がったパンについては、生地の粘りをそろえたうえで比べたところ、パンの比容積(重さあたりの体積、膨らみの指標)とクラム(パンの内側部分)のかたさに、三つのあいだで統計的に意味のある差は見られませんでした。乾燥した粉から作ったパンは気泡の数が有意に少なかったものの、気泡一つあたりの平均面積には三つのあいだで有意な差はなかったと報告されています。

この結果が示すこと

研究チームは、この研究の条件のもとでは、冷凍した未乾燥粉から作ったパンが、未乾燥粉から作ったパンと同程度の品質の特徴を示したとしています。そのうえで、粉砕後の取り扱い方の選択肢として、冷凍保存はさらに検討する価値があると述べています。

乾燥という工程が、粉の粒の状態や水の吸い方といった性質に違いをもたらす一方で、水の量を調整すれば最終的なパンの膨らみやかたさには差が出なかったという点は、米粉の扱い方を考えるうえでの一つの手がかりになります。

著者:Kumiko Saito(Department of Food Science and Nutrition, Nara Women's University, Kitauoya-nishimachi, Nara 630-8506, Japan)、Mai Hirata(Department of Food Science and Nutrition, Nara Women's University, Kitauoya-nishimachi, Nara 630-8506, Japan)、Koharu Nomura(Department of Food Science and Nutrition, Nara Women's University, Kitauoya-nishimachi, Nara 630-8506, Japan)、Motoki Nishimura(Nishimura Machine Works Co., Ltd., 2-6-9 Matsuyama-cho, Yao, Osaka 581-0088, Japan)、Atsuyuki Noguchi(Nishimura Machine Works Co., Ltd., 2-6-9 Matsuyama-cho, Yao, Osaka 581-0088, Japan)、Tatsuya Fujii(Nishimura Machine Works Co., Ltd., 2-6-9 Matsuyama-cho, Yao, Osaka 581-0088, Japan)、Naoko Suga(Department of Food Science and Nutrition, Nara Women's University, Kitauoya-nishimachi, Nara 630-8506, Japan)、Tayori Takechi(KYOUSEI Science Center for Life and Nature, Nara Women's University, Kitauoya-higashimachi, Nara, 630-8506, Japan)、Yoshiro Hatanaka(KYOUSEI Science Center for Life and Nature, Nara Women's University, Kitauoya-higashimachi, Nara, 630-8506, Japan)、Hitoshi Takamura(Department of Food Science and Nutrition, Nara Women's University, Kitauoya-nishimachi, Nara 630-8506, Japan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Kumiko Saito, Mai Hirata, Koharu Nomura, et al. Effects of drying and frozen storage on the properties of wet air-jet milled rice flour and gluten-free bread quality. LWT 2026-09-19. DOI: 10.1016/j.lwt.2026.119979. 原著ライセンス:CC BY.