著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Frontiers in Plant Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、ドラゴンフルーツの皮に含まれる成分や、食品素材としての性質が、品種と成熟段階によってどう変わるかを調べました。皮は食物繊維やミネラルなどを含む一方、十分に利用されず、廃棄されることが多い部分です。著者らは、その利用を考えるために、成分だけでなく、水や油を保持する性質、抗酸化活性、内部の構造まで比較しました。

何を、どのように調べたか

対象は、インドのタミル・ナードゥ州にある農園で栽培された、皮と果肉が赤い4品種、C、CM Pink、Taiwan Pink、Jumbo Redです。それぞれ開花後25日、35日、45日に収穫し、成熟の進みに伴う違いを調べました。

皮を55℃の熱風で乾燥させた粉末について、栄養成分、ミネラル、抗酸化活性のほか、シュウ酸やフィチン酸、タンニンなどの成分を測定しました。また、水を保持する能力、水を含んで膨らむ能力、油を保持する能力を評価し、顕微鏡などで微細な構造や成分の化学的特徴も調べました。各実験は3回ずつ行い、品種と成熟段階、さらに両者の組み合わせによる違いを解析しました。

主な報告結果

研究チームによると、全体として、開花後45日の皮は25日の皮よりも食物繊維やミネラルが多く、水や油を保持する能力、水を含んで膨らむ能力も高くなりました。一方、フェノール類やフラボノイドの含有量、抗酸化活性は、未熟な25日の皮の方が高い傾向でした。複数の測定項目で、成熟段階だけでなく品種や、品種と成熟段階の組み合わせによる有意な違いが報告されています。

構造の分析では、成熟に伴い、皮の微細な構造やセルロースの並び方などにも変化が見られました。著者らは、水分などを保持する性質の向上には、食物繊維の増加に加え、内部のすき間や水となじみやすい化学的な部分の変化が関わっていると解釈しています。

果実全体の重さに占める皮の割合は、4品種とも成熟につれて低下し、開花後25日の62.29~69.80%から、45日には20.96~37.03%になりました。これは皮そのものの重さが減ったという意味ではなく、果肉の成長が皮の成長を上回り、相対的に皮の割合が小さくなったものだと説明されています。

この報告が示すこと

著者らは、ドラゴンフルーツの皮を利用する際には、求める性質に応じて収穫段階を選ぶ必要があると結論づけています。抗酸化成分に着目する場合と、食品の水分や油分を保持する素材として使う場合とでは、適した成熟段階が異なる可能性を示す報告です。

ただし、この研究では栄養成分の体内での利用されやすさや消化性、毒性、人体での効果、消費者の受け入れや採算性は検証していません。また、結果は熱風乾燥した皮の粉末について得られたもので、乾燥方法によって成分や構造、機能の測定値が変わる可能性があります。食品素材としての候補を示した段階であり、そのまま食用としての安全性や有効性を確立したものではありません。

原著論文の著者・所属:Mangalambika Balaji(Department of Horticulture and Food Science, Vellore Institute of Technology (VIT) School of Agriculture Innovations and Advanced Learning, Vellore Institute of Technology)、Utpal Das(Department of Horticulture and Food Science, Vellore Institute of Technology (VIT) School of Agriculture Innovations and Advanced Learning, Vellore Institute of Technology)、Rahul Vashishth(Department of Biosciences, School of Biosciences and Technology, Vellore Institute of Technology)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mangalambika Balaji, Utpal Das, Rahul Vashishth. Maturity-dependent changes in the nutritional, functional, mineral, and structural properties of dragon fruit peel (Selenicereus spp.). Frontiers in Plant Science(出版社:Frontiers Media) 2026-08-17. DOI: 10.3389/fpls.2026.1893418. 原著ライセンス:CC BY.