この研究は、インドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Frontiers in Sustainable Food Systems
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
鮮やかな赤紫色の果肉が特徴のドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)。食べた後に残る皮は、通常そのまま捨てられてしまうことがほとんどです。しかし近年、食品加工で出る廃棄物を減らしつつ、健康によいとされる成分を加えた「機能性食品」への関心が高まっています。今回紹介する研究では、これまで廃棄されがちだったドラゴンフルーツの皮と、食物繊維が豊富なオーツ(オートミールの原料)を組み合わせた「ロール」状の食品を開発し、その特性を調べています。
研究でわかったこと
研究ではまず、ドラゴンフルーツの果肉と皮それぞれの理化学的・機能的な特徴を比較しています。その結果、皮は果肉と比べて、粗繊維(28.33%)、総フェノール量(219.42 mg GAE/100 g)、抗酸化活性(DPPH法で79.91%)、アントシアニン量(23.29 mg/100 g)、アスコルビン酸(ビタミンC、11.27 mg/100 g)のいずれも高い値を示したと報告されています。これにより、皮が機能性食品の材料として活用できる可能性が示されたとしています。
次に、応答曲面法(RSM)というデータ解析の手法とBox–Behnken計画と呼ばれる実験デザインを用いて、砂糖(20〜30 g)、ドラゴンフルーツの皮のピューレ(80〜100 g)、オーツ(5〜10 g)という3つの材料の配合量を変えながら、味・香り・風味・見た目・総合的な好ましさといった官能評価をもとに最適な配合を探索しました。その結果、砂糖30g、皮のピューレ90g、オーツ5gという配合が最も評価が高く、総合的な好ましさのスコアは8.05(10点満点相当と考えられる評価尺度)であったとされています。
この最適配合で作られたロールは、可溶性固形分(糖度)28.40°Brix、滴定酸度0.832%、総糖23.50%、還元糖14.24%、粗繊維5.16%、水分6.98%、灰分4.39%という組成を示しました。また、総フェノール量21.25 mg GAE/100 g、抗酸化活性(DPPH)45.76%、アントシアニン7.64 mg/100 mLと、加工後も一定の機能性成分が保持されていたと報告されています。色の測定値(L*22.83、a*5.79、b*20.72)からは、ドラゴンフルーツらしい赤紫色の外観が維持されていたことが示唆されています。さらに、たんぱく質変性阻害という試験管内(in vitro)の手法を用いた抗炎症活性の評価では、濃度依存的な効果がみられ、1500 μg/mLで最大60.54%の阻害率、IC50値(阻害率50%に相当する濃度)は1161.6 μg/mLであったとされています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、通常廃棄されるドラゴンフルーツの皮を活用し、オーツで栄養価を高めた新しい食品の配合を最適化することを目的としたものです。抗酸化活性や抗炎症活性に関する結果が示されていますが、これらは主に試験管内での測定や成分分析に基づくものであり、この食品を食べることで人の健康にどのような影響があるかを直接確かめたものではない点には注意が必要です。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではありません。
まとめ
この研究では、廃棄されがちなドラゴンフルーツの皮が、果肉よりも食物繊維やフェノール化合物、抗酸化成分を多く含むことが示され、これをオーツと組み合わせたロール状食品として活用する配合が最適化されました。開発された製品は、官能評価での好ましさを保ちながら、一定の機能性成分を含んでいたと報告されています。食品廃棄物の有効活用と栄養価の向上を両立させる一つの試みとして、今後の研究の発展が注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):皮の高度利用によるオーツ強化ドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)ロールの開発と機能的・栄養的特性向上のための応答曲面法による最適化(フロンティアーズ・イン・サステイナブル・フード・システムズ・2026年08月)
著者:Ghan Shyam Abrol(Department of Postharvest Technology, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Alan Evon Singh(Department of Postharvest Technology, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Azaj Ansari(Department of Postharvest Technology, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Ranjit Pal(Department of Fruit Science, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Prabhat Tiwari(Department of Agroforestry and Silviculture, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Gaurav Sharma(Department of Floriculture and Land Scaping, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)、Manish Srivastav(Department of Fruit Science, College of Horticulture and Forestry, Rani Lakshmi Bai Central Agricultural University, Jhansi, Uttar Pradesh, India)