この研究は、ポーランドの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Food Chemistry
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を調べた研究か
緑茶や紅茶に含まれるカテキンは、お茶の渋みや抗酸化性に関わる成分として知られています。しかし、同じ茶葉を使っても、湯の温度や水の性質、淹れた後の扱い方によって、実際に飲む液体の中にどれだけのカテキンが含まれ、それがどれだけ保たれるのかは変わり得ます。
研究チームは、抽出条件と水のミネラル量(水の硬さに関わる溶け込んだミネラルの多さ)が、カテキンの抽出量と組成にどう影響するかを調べました。あわせて、緑茶において加熱や酸の添加を受けたときにカテキンがどれだけ残るか(安定性)も検討しています。
どのように調べたか
市販の緑茶と紅茶を、沸騰した湯で淹れる場合と、製造者が推奨する条件で淹れる場合とに分けて抽出しました。得られた抽出液について、カテキン類とカフェインの量をHPLC(成分を分離して量を測る分析手法)で測定し、さらに総ポリフェノール量と、DPPHラジカル消去活性(試験管内で抗酸化のはたらきを測る指標)も調べています。
報告された主な結果
沸騰した湯で淹れると、カテキンの抽出量が増え、なかでもガレート型カテキン(没食子酸が結合したタイプのカテキン)の割合が優先的に高まったと報告されています。一方、水のミネラル量が増えるほどカテキンの抽出量は減り、代表的なカテキンであるEGCGの相対的な割合も低下しました。
選んだ緑茶の抽出液を80℃で1時間置いたときのEGCGの残存率は、水のミネラル量が多いほど大きく下がり、蒸留水では38.4%だったのに対し、ミネラルウォーターでは1.4%にとどまったとされています。これに対し、レモン果汁で酸性にした場合は、水の種類にかかわらずEGCGの残存率がおよそ95%に保たれ、DPPHラジカル消去活性も大きく損なわれずに維持されたと報告されています。
この報告が示すこと
著者らは、これらの結果から、抽出時の条件だけでなく淹れた後の扱いも、カテキンの量・カテキンどうしの構成比・その安定性に影響すると結論づけています。お茶の成分を語るとき、茶葉の種類だけでなく、どんな水でどう淹れ、その後どう保つかまで含めて見る必要があることを示した研究といえます。
著者:Magdalena Mika(University of Agriculture in Krakow, Faculty of Food Technology, Department of Food Biotechnology, Krakow, Poland. Electronic address: [email protected])、Agnieszka Wikiera(Jagiellonian University Medical College, Faculty of Health Sciences, Institute of Physiotherapy, Department of Medical Physiology, Krakow, Poland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Magdalena Mika, Agnieszka Wikiera. Brewing conditions and post-brewing handling shape the catechin profile and stability of tea infusions. Food Chemistry 2026-08-28. DOI: 10.1016/j.foodchem.2026.150884. 原著ライセンス:CC BY.