著者の所属・活動拠点の国は、トーゴです。

掲載誌:European Scientific Journal ESJ

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

西アフリカのトーゴでは、食卓に上る魚を地元の漁業と輸入の両方でまかなっています。著者らによると、国内漁獲量は年間約2万5000トンで、需要は年間約7万トンと見積もられています。水揚げや輸入のあと、魚は卸売業者や鮮魚店などを経て消費者に届きます。その間の扱い方次第で、鮮度や衛生状態が損なわれるおそれがあります。

生の魚は傷みやすく、冷蔵設備の不足や衛生管理の不備は品質低下の原因になります。細菌が増えると、魚に含まれるヒスタミンによる食中毒の危険も高まると論文は指摘しています。そこで研究チームは、漁師、卸売業者、輸入業者、鮮魚店という流通の担い手ごとに、生鮮魚と冷凍魚の品質を比べることにしました。

何をどのように調べたか

調査はトーゴ沿岸部で行われました。範囲は、首都ロメの西端コジョビアコペからアネホまでの約56キロの海岸線と、ロメ、アネホの両市です。2025年9月から11月にかけて、主な水揚げ地や鮮魚市場、鮮魚店で計42の担い手から魚を集めました。担い手の種類や採取場所、魚種ごとに魚を混ぜ合わせ、22の混合試料にまとめています。

地元の生鮮魚は、カタクチイワシやイワシの仲間などの小型の魚です。輸入冷凍魚はサバとマアジの仲間で、輸入業者の分は入国時の冷蔵コンテナから採取されました。鮮魚店で売られていたのも、これらの輸入冷凍魚です。

品質は複数の物差しで評価されました。1つ目は鮮度です。皮、目、身、えらの状態を見て0〜3点で採点し、ヨーロッパの基準に沿って上から「エクストラ」「A」「B」などに分類しました。2つ目は身の酸性度(pH)です。3つ目は揮発性塩基窒素(TVBN)で、魚が傷むにつれて増える成分の量を示す指標です。これについては、100グラムあたり25ミリグラムという基準値と照らし合わせました。さらに、一般細菌、大腸菌群、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラの数を調べ、基準に基づいて微生物学的な品質を判定しました。

主な結果

鮮度の評価では、浜で漁をする漁師の魚と輸入業者の冷凍魚がともに満点の3点で、最上位の「エクストラ」に分類されました。続いて、引き網漁の漁師の魚が2.4点、鮮魚店の魚が2.2点で「A」でした。卸売業者の魚は1.8点で「B」にとどまりました。

pHは5.72(輸入業者)から6.96(卸売業者)の範囲でした。平均値が最も低かったのは輸入業者の魚です。揮発性塩基窒素は100グラムあたり5.40ミリグラム(輸入業者)から112.62ミリグラム(鮮魚店)まで大きな幅がありました。平均値は輸入業者と漁師の魚で低く、鮮魚店と卸売業者の魚で高くなっていました。全体では81.82%の試料が基準値の25ミリグラムを下回りましたが、卸売業者や鮮魚店の一部の試料はこれを大きく上回りました。なお、pHと揮発性塩基窒素の間に有意な関係は見られませんでした。

微生物の検査では、輸入業者の魚が「満足できる品質」でした。漁師と鮮魚店の魚は「許容できる品質」、卸売業者の魚は「満足できない品質」と判定されています。一般細菌数は卸売業者の魚で最も多く、輸入業者の魚で最も少ない結果でした。衛生管理の不備を示す大腸菌群や大腸菌は、漁師と卸売業者の魚でより多く検出されました。一方、サルモネラはどの試料からも見つかりませんでした。

研究が示すこと

研究チームは、同じ沿岸部で売られる魚でも、どの担い手から得たかによって品質が異なると結論づけています。品質が最も良かったのは入国時の輸入冷凍魚で、地元で獲れたばかりの魚、鮮魚店の魚、卸売業者の魚の順に続きました。著者らはこの差について、低温管理の途切れや衛生・取り扱いの状況が関わっている可能性を考察しています。

論文は、とくに地元の漁業に携わる人々を対象に、衛生的な漁獲・取り扱い・販売の方法についての啓発や研修を強化する必要があると述べています。魚が消費者に届くまでのどの段階で品質が落ちやすいのかを、具体的な測定値で示した点に、この研究の意味があるといえます。

原著論文の著者・所属:Sefako Mireille Agonsa(Togolese Institute of Agronomic Research (ITRA) Laboratory of Physiology/Pharmacology/Animal Toxicology, Faculty of Science, University of Lomé, Togo)、Ekpetsi Chantal Bouka(Togolese Institute of Agronomic Research (ITRA) Laboratory of Physiology/Pharmacology/Animal Toxicology, Faculty of Science, University of Lomé, Togo)、Achite Antony Mensah(Togolese Institute of Agronomic Research (ITRA))、Abdou-Hakimou Koura-Ketchim(Laboratory of Physiology/Pharmacology/Animal Toxicology, Faculty of Science, University of Lomé, Togo)、Povi Lawson-Evi(Laboratory of Physiology/Pharmacology/Animal Toxicology, Faculty of Science, University of Lomé, Togo)、Kwashie Eklu-Gadegbeku(Laboratory of Physiology/Pharmacology/Animal Toxicology, Faculty of Science, University of Lomé, Togo)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sefako Mireille Agonsa, Ekpetsi Chantal Bouka, Achite Antony Mensah, et al. Physicochemical and Microbiological Assessment of Fresh and Frozen Fish Marketed in the Coastal Area of Togo. European Scientific Journal ESJ 2026-07-31. DOI: 10.19044/esj.2026.v22n21p55. 原著ライセンス:CC BY.