著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Procedia of Engineering and Life Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの背景と目的
発展途上地域で伝統的な食品を扱う小規模事業者は、食品の安全性や品質基準への対応で大きな課題を抱えています。著者らは、インドネシア・シドアルジョ県の18の郡で揚げ物を販売する小規模事業者を対象に、さまざまな揚げ物に使えるサクサクした衣の配合について技術研修を行い、その内容を報告しています。
論文によれば、揚げ物は市場での需要が高い一方、地元の販売者には食品添加物に関する技術的な知識や、油を繰り返し加熱することで劣化が進む危険性についての知識が不足しがちです。そこで研究チームはインターンシップ活動の一環として、2種類の食品添加物を衣に取り入れる方法を伝え、製品の品質と安全性の向上を目指しました。
紹介した2つの添加物
1つ目はカルボキシメチルセルロース(CMC)です。植物の繊維成分であるセルロースから作られ、水を含んでとろみやまとまりを与える「ハイドロコロイド」と呼ばれる素材の一種です。
2つ目は酸性ピロリン酸ナトリウム(SAPP)です。重曹と組み合わせて使う膨張剤の成分で、生地や衣を膨らませる働きがあります。著者らは、このように衣を保護する素材と膨らませる素材を組み合わせ、屋台などで売られる伝統的な揚げ物向けに調整した配合を実地で紹介した点を、この取り組みの新しさとしています。
調理実演で報告された結果
抄録によると、調理実演ではCMCが揚げ物の表面に保護膜をつくり、油の吸収を抑えたと報告されています。ただし、ハイライトではこの効果を「見た目の上で」油の吸収を抑えたと表現しています。
また、SAPPを重曹と組み合わせることで、衣が軽い食感になり、黄金色の焼き色がついたとされています。この焼き色は、加熱によって糖とアミノ酸が反応して色や香りが生まれる「メイラード反応」によるもので、SAPPがこの反応を適切な状態に整えたと著者らは説明しています。さらに、参加者の関心が高かったことから、地元の販売者にとって実際に役立つ可能性が高いと述べています。
この報告が示すこと
著者らは、こうした衣の配合技術を取り入れることで、地域の食品の水準や消費者の安全性が高まり、小規模事業者の経済的な競争力の向上にもつながると論じています。身近な屋台の揚げ物でも、添加物の正しい知識と使い方を現場の事業者へ直接伝えることが、品質と安全を見直すきっかけになりうることを示した実践報告といえます。
著者:Achmad Baihaqi(Universitas Muhamamdiyah Sidoaejo)、Rahmah Utami Budiandari(Universitas Muhammadiyah Sidoarjo)、Beny Susanto(Dinas Koperasi dan Usaha Mikro Kab. Sidoarjo)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Achmad Baihaqi, Rahmah Utami Budiandari, Beny Susanto. Empowering Traditional Fried Food Micro-Enterprises through Training on the Application of Food Additives in Versatile Crispy Batter Formulation in Sidoarjo Regency. Procedia of Engineering and Life Science 2026-10-12. DOI: 10.21070/pels.v10i1.3033. 原著ライセンス:CC BY.