この研究は、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の背景と目的

人には、朝早く活動しやすい「朝型」から、夜に調子が上がる「夜型」まで、生活リズムの個人差があります。こうした傾向は「クロノタイプ(朝型・夜型の型)」と呼ばれます。研究チームは、登校時間などの外部からの制約が思春期の若者の体内時計(概日リズム)を乱し、肥満や代謝性疾患のリスクを高める可能性がある、という問題意識を背景として挙げています。

この研究の目的は、思春期の若者において、クロノタイプと食事の質がどのように関連しているかを調べることでした。

調べ方

研究チームは、中国・厦門(アモイ)で層化無作為抽出によって集めた982人の思春期の若者を対象に、横断研究(ある一時点の状態をまとめて観察する調査)を行いました。

クロノタイプは「朝型‐夜型質問紙(MEQ-19)」、食事の質は「食事の質質問票(DQQ)」という、いずれも自己回答式の質問票で評価されました。DQQから算出される指標としてGDR(世界的な食事推奨)スコアが用いられ、全体のスコア(GDR-Total)のほか、健康によい食品の摂取に関する部分(GDR-Health)と、控えるべき食品に関する部分(GDR-Limit)が区別して扱われています。

報告された主な結果

単変量解析では、GDRスコアは学年、BMI、クロノタイプによって有意に異なっていた(p < 0.05)と報告されています。

重回帰分析では、MEQスコアとGDR-Totalとの間に正の関連がみられ(p < 0.001)、この関連は主にGDR-Limitではなく、GDR-Healthと結びついているように見えた、とされています。MEQを連続変数として扱った場合でも、いくつかの区分に分けたカテゴリ変数として扱った場合でも、こうした関連は頑健であることが感度分析で確認されました。

さらに探索的に行われた制限付き三次スプライン解析(関連の形を直線に限定せず柔軟に描く方法)では、MEQスコアとGDR-Totalとの間に逆U字型に見える関連が示唆されました。ただし著者らは、この形は解析上の設定(曲線をつなぐ点の置き方)や、分布の端にあたるデータを含めるかどうかによって変わりやすかった、と注意を添えています。内訳としては、GDR-Healthは主に右肩上がりのパターン、GDR-LimitはU字型のパターンを示したと報告されています。

この研究が示すこと

著者らは結論として、食事の質は夜型から朝型へと傾向が移るにつれて当初は改善するものの、極端な朝型では低下しており、健康的な食事パターンにとって最適なクロノタイプの範囲が存在することを示唆する、と述べています。

またこの知見は、思春期の若者に対して、不健康な食品を制限することだけに焦点を当てるのではなく、睡眠パターンの改善と健康によい食品の摂取増加を組み合わせた個別化された介入を支持するものだ、としています。なお本研究は一時点での観察にもとづく横断研究であり、報告されているのはクロノタイプと食事の質の関連であって、どちらかがもう一方を引き起こすという因果関係を示したものではありません。

著者:Hongge Tang(School of Public Health and Medical Technology, Xiamen Medical College, Xiamen 361023, China)、X. J. Liu(School of Public Health and Medical Technology, Xiamen Medical College, Xiamen 361023, China)、Zhiyong Zou(Institute of Child and Adolescent Health, School of Public Health, Peking University, National Health Commission Key Laboratory of Reproductive Health, Beijing 100191, China)、Qi Sun(School of Public Health, China Medical University, Shenyang 110013, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hongge Tang, X. J. Liu, Zhiyong Zou, et al. Self-Reported Chronotype and Diet Quality in Chinese Adolescents: Insights from a Cross-Sectional Study in Xiamen. Nutrients 2026-09-21. DOI: 10.3390/nu18183097. 原著ライセンス:CC BY.