「地中海式食事」と聞くと、なんとなく体によさそうなイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。オリーブオイルや魚、野菜を多く使うこの食事パターンは、慢性疾患のリスクを下げる可能性が報告されてきました。では、減量を目指す人がこの食事法を取り入れたら、カロリー制限中心のダイエットより痩せやすいのでしょうか。米国で行われた臨床試験が、この疑問に挑みました。
360人を対象にした2年間の比較試験
この研究は「DELISH」と呼ばれるランダム化比較試験です。米国ノースカロライナ州中部の医療機関で、BMIが30以上、年齢18〜75歳の肥満成人360人が参加しました。参加者は2つのグループにランダムに分けられました。
一方は地中海式の食事パターンを促す減量プログラムです。まず4カ月かけて食事の質を高め、次の8カ月で減量に取り組み、残りの12カ月は減量した体重の維持を目指すという、3段階の構成になっていました。もう一方は、エネルギー摂取量の削減に重点を置く「WW(旧ウェイト・ウォッチャーズ)」のプログラムを対照群として使いました。両グループとも、プログラムは無料で提供され、適度な運動を勧める助言も含まれていました。
体重減少率に差はなかったが、食事の質には違いが
研究チームが最も重視したのは、24カ月後の体重変化率です。参加者の年齢は平均54.7歳、体重の中央値は103.2kgでした。24カ月時点の追跡調査には、地中海式群で64.8%、対照群で72.5%の人が参加しました。
データを補完した主要な解析では、24カ月後の体重減少率は地中海式群で平均3.40%、対照群で平均3.51%という結果でした。両者の差はわずか0.11ポイントで、統計的に意味のある差とは言えませんでした(P=.90)。つまり、この試験では体重の減り方そのものに大きな違いは見られなかったのです。
一方で、興味深い違いも見つかりました。追跡調査に来た参加者について食事の質を評価する指標(AHEI-2010スコア)を比べたところ、地中海式群のほうが対照群より高いスコアを示しました。この差は統計的にも意味のあるものでした(P=.005)。体重は同じように減っても、食べているものの質そのものは、地中海式群のほうが改善していたということになります。
この結果をどう読むか
この研究は、米国内の限られた地域の医療機関から募集した参加者を対象にした一つの臨床試験です。ここで得られた結果がすべての人や地域に当てはまるとは限りません。また、24カ月後の追跡調査には参加者の一部しか戻ってこなかった点も、結果を見るうえで留意すべき点です。
それでも、この試験からは明確に言えることがあります。地中海式の食事パターンを促す減量プログラムは、エネルギー制限中心のプログラムと比べて、体重の減り方では上回らなかった一方、食事の質を高める効果は示されました。ダイエットを「体重」だけでなく「何を食べているか」という観点からも見る必要があることを、この結果は教えてくれます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:地中海式食事パターンを取り入れた減量介入(ジャマ・ネットワーク・オープン・2026年08月)