掲載誌:International Journal of Science Strategic Management and Technology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
農薬や化学肥料、成長調整ホルモンなどを使わずに育てられた有機食品は、健康によい食べ物として、また環境への負担を減らす選択肢として関心を集めています。著者らは、インドで有機食品市場が拡大している一方、有機農業や有機食品への理解はまだ十分に広がっていないと指摘しています。
この研究が注目したのは、社会の中核を担うミレニアル世代と、その下のZ世代です。論文によると、若い世代は食べ物の材料や作り方に関心を持ち始めています。一方で、外食先では伝統的な食事を見つけにくく、ジャンクフードや糖分の多い飲料が身近にあるという課題も抱えています。
研究チームは、こうした世代の社会的・経済的な変化を整理すること、有機食品を通じて表れる健康意識の程度を確かめること、そして環境保全への意識に影響する要因を理解することを目的に掲げました。健康と環境保全という二つの側面を、一つの消費行動の中で同時に捉えようとした点に、この研究の特徴があります。
どのように調べたか
論文は、主に二次データを用いた質的研究だと説明しています。二次データとは、研究者が自分でアンケートなどを行って集めたデータではなく、既存の書籍、学術誌、論文、雑誌、新聞、ウェブサイトなど、すでに公表されている情報のことです。質的研究とは、数値の統計分析ではなく、資料の内容や考え方を読み解いて理解を深める研究の進め方を指します。
著者らはこれらの資料をもとに、ミレニアル世代の好みや選択、影響を与える要因、社会経済的な背景、健康への影響、社会や環境にもたらす利点を検討しました。特に、30〜40歳のミレニアル世代が、従来の食品から有機食品へ本当に切り替えたいと考えているのか、それとも一時的な流行にすぎないのかという点を問題にしています。対象地域は、インド西部のプネー県です。
主な結果
論文が示した主な結果は四つです。第一に、インドの人々は有機食品に対して、全体として関心が薄く、気軽に捉えている傾向が見られました。第二に、有機食品はどこでも手に入るわけではなく、都市部の一部の専門ブランド店でしか購入できない状況が指摘されました。
第三に、有機食品は栽培にかかるコストが高く、誰もが買える価格ではないとされています。第四に、環境への意識は一部の人々の間では非常に高い一方、そうでない人々も多く、意識の差が大きいことが示されました。
著者らは研究の限界として、対象がプネー県に限られていることを挙げています。また、若い世代の健康意識はまだ習慣として根付いておらず、一時的な流行にとどまる可能性があることや、環境への意識を持っているのは一部の層に限られることにも触れています。
研究が伝えること
著者らは結論として、ミレニアル世代やZ世代はソーシャルメディアやマーケティング、口コミを通じて健康と環境への関心を高めつつあると述べています。そのうえで、健康上の利点と環境上の利点を「一つの結び目」として結びつけて考えることが重要だとしています。
この研究からは、若い世代の有機食品への関心が高まっていても、入手しやすさや価格、意識の偏りといった壁が残っている姿が浮かび上がります。健康を守ることと環境を守ることを一緒に考えるという視点が、有機食品をめぐる若い世代の選択を理解する手がかりになることを、この論文は示しています。
原著論文の著者・所属:Akshara Katrapwar(Department of Business Administration Ness Wadia College of Commerce, Pune)、Dr. Rajesh Raut(Department of Business Administration Ness Wadia College of Commerce, Pune)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Akshara Katrapwar, Dr. Rajesh Raut. The Role of Health Consciousness and Environmental Awareness in Millennials’ Organic Product Choices.. International Journal of Science Strategic Management and Technology 2026-08-03. DOI: 10.55041/ijsmt.v2i7.111. 原著ライセンス:CC BY.