この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:AcTion Aceh Nutrition Journal

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

何を明らかにしようとした研究か

肥満は世界的な健康課題であり、著者らは、インドネシアでも成人の肥満割合が2018年の21.8%から2023年には23.4%へ増加したと紹介しています。2023年のインドネシア保健調査では、北スラウェシ州が30.6%で全国3番目に高い水準にあったと報告されています。

著者らは、インドネシア国内でも、地域の一次医療(プライマリ・ケア)の現場に根ざして身体活動・エネルギー摂取・食物繊維摂取をあわせて検討した地域住民ベースの研究は少ないと指摘しています。そこでこの研究は、マナド市ミナンガ保健センターの管轄地域に住む成人について、これら3つの生活習慣要因といくつかの社会人口学的な特性が、BMI(体格指数。体重kgを身長mの2乗で割った値)とどう関係しているかを調べることを目的としました。著者らは、身体活動と食物繊維の摂取が多いほどBMIは低く、エネルギー摂取が多いほどBMIは高いという予想を立てていたと述べています。

どのように調べたか

研究は2025年1月から3月に行われた横断研究です。横断研究とは、ある一時点で複数の項目をまとめて測り、その間の関係を見る方法を指します。対象は同地域に住む18〜59歳の成人で、目的に合う人を選ぶ「有意抽出」で募集し、最終的にデータがそろった95人が分析に含まれました。妊娠中・授乳中の人、調査時に急性の病気があった人などは除外されています。

身体活動はインドネシア語版として妥当性が確認された国際標準化身体活動質問票(IPAQ)の短縮版を用い、過去7日間の歩行・中強度・高強度の活動を合計して「MET-分/週」という単位で表しました。これは活動の強さと時間をかけ合わせた指標です。食事は、過去1か月の習慣的な食べ方をたずねる半定量食物摂取頻度調査票(SQ-FFQ)で調べ、インドネシアの食事写真集を参照して分量を見積もり、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食物繊維の1日平均摂取量を算出しました。身長と体重は校正済みの機器で標準手順に沿って測定しています。

分析には記述統計に加え、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ウォリス検定、スピアマンの相関、重回帰分析が用いられました。重回帰分析は、複数の要因を同時に考慮して、それぞれが結果とどれだけ独立して結びついているかを見る方法です。研究は大学の倫理委員会の承認を得て実施され、参加者全員から文書による同意を取得したと記載されています。

報告された主な結果

参加95人の内訳は男性55.8%、女性44.2%で、就労者が50.5%でした。BMIの平均は20.16±1.68 kg/m²でした。著者らは、この平均値が正常範囲に入るとしても、参加者全員が正常な栄養状態だったと解釈すべきではないと注意を促しており、WHOのアジア太平洋基準で分類すると22.1%が低体重、3.2%が「過体重(リスクあり)」、1.1%が肥満に該当したと報告しています。エネルギー摂取量の平均は1日2109.90±390.03 kcal、食物繊維は1日22.13±7.01 gでした。

二変量の分析では、身体活動(r = −0.360)と食物繊維摂取(r = −0.523)がBMIと中程度の負の相関を示し、エネルギー摂取(r = 0.593)は中程度の正の相関を示しました(いずれもp < 0.001)。一方、たんぱく質・脂質・炭水化物の摂取量、および性別・就労状況・教育水準・年齢区分については、BMIとの統計的に有意な関係は認められませんでした。

3つの生活習慣要因を同時に入れた重回帰分析でも、身体活動(β = −0.405)、エネルギー摂取(β = 0.633)、食物繊維摂取(β = −0.452)はいずれも独立した有意な関係を保ち(すべてp < 0.001)、モデル全体でBMIのばらつきの75.1%を説明したと報告されています(調整済みR² = 0.742)。著者らは、行動に関する自己申告データにもとづく研究としては説明力が高いため、元の解析出力に照らしてデータの入力や重複、回帰診断を再点検し、モデルの前提に大きな違反はなかったと述べています。この高い説明力は、比較的均質な集団のなかで3つの要因が合わさって働いたことを反映している可能性があり、因果関係を示すものではないとしています。

この研究が示すこと

著者らは、社会人口学的な特性ではなく、身体活動・エネルギー摂取・食物繊維摂取という行動面の要因が、この集団ではBMIとより強く結びついていたと整理しています。平均BMIが正常範囲にある集団であっても、エネルギー摂取のわずかな増加や身体活動・食物繊維摂取の減少がBMIの違いと関連していたことから、一次医療の場での行動に着目したスクリーニングや健康増進をさらに検討する裏づけになると述べています。

ただし、著者らは限界も明記しています。横断研究であるため時間的な前後関係や因果の向きは示せず、BMIが食習慣や活動量に影響を与えるという逆方向の可能性も残ること、食事と身体活動が自己申告であること、有意抽出による選択バイアスの可能性、事前の症例数設計を行っていないことなどです。社会人口学的な特性で差が出なかった点についても、標本規模や集団の均質性による検出力の制約が考えられ、これらの要因が重要でないという証拠ではないとしています。方向性を明らかにするには縦断的な追跡が必要だと結論づけています。

著者:Christin Natalia Lalamentik(Master of Science in Nutrition, Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya, Malang, East Java)、Widya Rahmawati(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya, Malang, East Java)、Fuadiyah Nila Kurniasari(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya, Malang, East Java)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Christin Natalia Lalamentik, Widya Rahmawati, Fuadiyah Nila Kurniasari Associations of physical activity, energy intake, and dietary fiber intake with body mass index among adults in the Minanga Public Health Center, Manado City, Indonesia. AcTion Aceh Nutrition Journal 2026-09-16. DOI: 10.30867/action.v11i3.3339. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。