著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Teknik Pertanian Lampung (Journal of Agricultural Engineering)
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
コーヒーの品質は焙煎に大きく左右されます。ところが、どの程度まで焙煎したかという「焙煎度」は、香りや味を人が確かめる官能評価で主観的に判断されることが多く、焙煎の手順(焙煎プロファイル)を標準化しにくいという課題がありました。
研究チームは、焙煎を客観的に管理するための予備的な段階として、焙煎時間の長さとコーヒー豆の理化学的性質の変化との関係を調べました。理化学的性質とは、酸性度や水分量、色など、機器や分析で測定できる性質のことです。なお、ここでの紹介は論文の抄録に記載された内容に基づいています。
調べた方法
試料には、水洗式で精製された「Solok Radjo」というアラビカ種のコーヒー豆を用いました。焙煎温度は195℃で一定とし、焙煎時間を475秒から795秒までの10段階に設定しました。各条件を3回ずつ繰り返し、合計30試料を作りました。
測定した項目は、pH、滴定酸度、色の明るさ、水分量、カフェイン含有量の5つです。pHは酸性・アルカリ性の度合いを示す値で、数値が小さいほど酸性が強くなります。滴定酸度は、試料に含まれる酸の量を、中和に必要なアルカリの量から求めた値です。焙煎時間と各項目の関係は、二つの量がどの程度直線的に連動して変化するかを示すピアソンの相関係数(r)で評価しました。rは-1から1の値をとり、絶対値が1に近いほど関係が強いことを表します。
主な結果
論文によると、5つの測定項目のうち4つで、焙煎時間との間に非常に強い直線的な関係が見られました。
pHは焙煎時間と非常に強い正の相関を示し(r = 0.985)、焙煎時間が長いほど値が高くなりました。著者らは、これを有機酸が分解されるためと説明しています。一方、滴定酸度(r = -0.983)、色の明るさ(r = -0.959)、水分量(r = -0.955)は非常に強い負の相関を示し、焙煎時間が長くなるにつれて有意に低下しました。つまり、長く焙煎した豆ほど酸が少なく、色が暗く、水分が少ないという傾向です。
カフェイン含有量は相関が最も弱く(r = -0.598)、値にばらつきが見られました。著者らは、カフェインが熱に対して安定な物質であることをその理由として挙げています。抄録では、これらの相関はすべて統計的に有意(p < 0.05)だったと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、これらの結果から、pHや滴定酸度、色、水分量といった理化学的な指標が、焙煎工程の管理や焙煎プロファイルの標準化に役立つ客観的な目安になり得ると結論づけています。人の感覚に頼りがちだった焙煎度の判断を、測定できる値で裏づけるための土台を示した研究といえます。また著者らは、こうした理化学的変化と風味などの官能的な品質とを結びつける研究の基礎にもなると位置づけています。
原著論文の著者・所属:Ilham Efendi(Universitas Andalas)、Fadli Hafizulhaq(Universitas Andalas)、Renny Eka Putri(Universitas Andalas)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ilham Efendi, Fadli Hafizulhaq, Renny Eka Putri Correlation Between Roasting Duration and Physicochemical Properties of Arabica Coffee (Coffea arabica L.) Beans: A Basis for Roasting Profile Standardization. Jurnal Teknik Pertanian Lampung (Journal of Agricultural Engineering) 2026-08-24. DOI: 10.23960/jtepl.v15i4.1420-1428. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。