著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:International Journal of Food Properties

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ダディ(dadih)は、インドネシアに伝わる発酵乳製品です。乳を竹筒に入れ、種菌を加えずに自然に発酵させて作ります。研究チームは、牛乳を原料にしたダディについて、発酵させる温度と時間を変えると製品の性質がどう変わるかを調べました。

調べた性質は幅広く、酸性の強さを示す化学的な指標、乳酸菌や酵母・カビの数、水分やたんぱく質などの成分、抗酸化性の目安となる測定値、液体の分離しやすさ、食感に関わる性質が含まれます。

どのように調べたか

温度は24℃、30℃、37℃、42℃の4段階、発酵時間は18時間、24時間、30時間、36時間の4段階としました。これらを組み合わせた16通りの条件それぞれで、別々に発酵させた竹筒3本ずつを用意しています。

測定項目には、pH(数値が低いほど酸性が強い)、乳酸に換算した酸度、乳酸菌数、酵母・カビの数、水分、たんぱく質があります。さらに、DPPHという試薬を使ってラジカル(不安定な分子)を消去する働きを測り、抗酸化性の目安としました。遠心分離をかけたときに分かれ出る液体の割合も測っています。最後に、多くの測定値をまとめて条件ごとの違いを見渡せる主成分分析という統計手法で、全体の傾向を整理しました。

主な結果

論文によると、繰り返し測定したすべての項目で、温度、発酵時間、そして両者の組み合わせが統計的に有意な影響を与えていました。

条件による違いは大きく、pHは4.77から6.60、酸度は乳酸換算で0.417%から1.252%の範囲でした。乳酸菌数は1グラムあたりの菌数を対数で表した値で6.01から8.36、酵母・カビは6.68から7.23でした。水分は55.37%から81.17%、たんぱく質は2.81%から13.45%と幅がありました。DPPHによる測定値は72.17%から86.53%、遠心分離で分かれ出る液体の割合は0.07%から39.25%でした。

主成分分析では、最初の2つの成分で全体のばらつきの79.1%を説明できました。条件ごとの違いを主に分けていたのは、pH、水分、酸度、乳酸菌数、固形分の量でした。

一方で、食感に関わるデータは各条件で1回しか測っていないため、著者らは記述的な結果として扱っています。アミノ酸の組成や、DNA解析による微生物の種類構成は1つの条件についてだけ調べた探索的なデータです。

この研究が示すこと

著者らは、発酵の温度と時間によって牛乳製ダディの特徴が大きく変わることを示しました。伝統的な製法の発酵食品でも、発酵条件の違いがpHや酸度、菌の数、成分、液体の分離しやすさなどの測定値にはっきり表れることが分かります。

ただし論文自身が述べているとおり、この研究では最適な条件は特定されていません。微生物面の安全性、味や食べやすさの評価、工業生産への適性も確かめられていません。今回の成果は、発酵条件と製品の性質との関係を幅広く記録したものです。

原著論文の著者・所属:Anif Mukaromah Wati(PSDKU Universitas Brawijaya Kediri; Universitas Brawijaya)、Sholeh Hadi Pramono(Universitas Brawijaya)、Abdul Manab(Universitas Brawijaya)、Rovina Kobun(Universitas Brawijaya; Universiti Malaysia Sabah)、Lilik Eka Radiati(Universitas Brawijaya)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anif Mukaromah Wati, Sholeh Hadi Pramono, Abdul Manab, et al. Effects of fermentation temperature and time on the physicochemical, microbiological, functional, and texture-related properties of cow milk-based dadih. International Journal of Food Properties 2026-10-16. DOI: 10.1080/10942912.2026.2739706. 原著ライセンス:CC BY.