著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Ultrasonics Sonochemistry

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

植物素材を乾燥させる一般的な方法に熱風乾燥があります。研究チームは、この熱風乾燥に超音波を併用すると、ニクジュヨウ(Cistanche deserticola)の薄切りの乾燥がどう変わるかを調べました。

比べたのは、1種類の周波数の超音波を使う方式、2種類を組み合わせる方式、3種類を組み合わせる方式です。著者らは乾燥の速さやエネルギー消費だけでなく、色、成分、抗酸化の働き、組織の微細な構造まで含めて、周波数の組み合わせ方による違いを体系的に検討しました。

どのように調べたか

抄録によると、超音波を使う処理はすべて55℃で行われました。超音波の合計出力は120ワットに固定し、25キロヘルツ、28キロヘルツ、40キロヘルツの周波数を単独で、または組み合わせて用いています。これらを、超音波を使わない従来の熱風乾燥と比較しました。

評価項目には、乾燥時間、水分1キログラムを除くのに必要なエネルギー量、ポリフェノール類・フラボノイド類・多糖類の含有量、抗酸化活性、色の変化などが含まれます。さらに、この植物に特徴的な成分であるフェニルエタノイド配糖体やイリドイド配糖体と呼ばれる化合物群も測定しました。組織の様子は、試料の表面を高倍率で観察できる走査型電子顕微鏡で調べています。最後に、多くの測定項目をまとめて統計的に整理する多変量解析で、処理ごとの特徴を比較しました。

主な結果

超音波を併用すると乾燥が速くなりました。2種類または3種類の周波数を組み合わせた方式では、従来の熱風乾燥に比べて乾燥時間が最大で43.75%短くなったと報告されています。

エネルギー消費が最も少なかったのは、25キロヘルツと40キロヘルツを組み合わせた方式です。除去した水分1キログラムあたりの消費エネルギーは76.15キロワット時で、熱風乾燥より32.28%少なかったとされています。

一方、品質面で目立ったのは3種類の周波数を組み合わせた方式でした。ポリフェノール類、フラボノイド類、多糖類の測定値が高く、抗酸化活性も強く、色の変化は小さい傾向がありました。特徴的な配糖体の多くも、おおむね高い含有量を示しました。

電子顕微鏡による観察では、超音波を使うと組織がより開いた多孔質の構造になっていました。著者らは、この構造の変化が乾燥の改善と一致していると述べています。多変量解析でも各処理は区別され、3周波数の方式は多くの品質指標と、25キロヘルツと40キロヘルツの組み合わせはエネルギー効率と、より強く結びついていました。

研究が示すこと

著者らは、周波数の数を増やせばすべての項目が一様に良くなるわけではないと結論づけています。エネルギー効率を重視するか品質を重視するかによって、適した周波数の組み合わせが異なるということです。全体としては、超音波を併用した熱風乾燥によって乾燥性能が向上し、品質面でも好ましい特性が保たれたと報告されています。

原著論文の著者・所属:Bowen Wu(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China)、Xiaopeng Huang(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China. Electronic address: [email protected])、Guojun Ma(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China)、Fangxin Wan(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China)、Zepeng Zang(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China)、Yanrui Xu(College of Mechanical and Electrical Engineering, Gansu Agricultural University, Lanzhou 730070, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bowen Wu, Xiaopeng Huang, Guojun Ma, et al. Multi-frequency ultrasound-assisted hot-air drying of Cistanche deserticola slices: Effects on drying efficiency, energy consumption, bioactive compounds, and microstructure. Ultrasonics Sonochemistry 2026-10-08. DOI: 10.1016/j.ultsonch.2026.108097. 原著ライセンス:CC BY.