この研究は、中国の研究機関の研究論文です。
掲載誌:BMC Public Health
ライセンス: CC BY-NC-ND 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
高尿酸血症(血液中の尿酸値が高い状態)は、痛風などとの関連が知られており、食生活との関係が研究されてきました。これまでにも、特定の食事性栄養素の摂取が高尿酸血症のリスクと関連することが報告されてきましたが、食事から摂るカルシウムの量と高尿酸血症との関係については、これまでよくわかっていませんでした。今回紹介する論文は、この点を中国の大規模な栄養調査データを用いて検討したものです。
研究でわかったこと
この研究では、2009年に実施された中国健康栄養調査(CHNS)のデータをもとに、18歳から94歳までの参加者7606人を対象に分析が行われました。食事の摂取量は、3日間連続で行われた24時間思い出し法(前日に食べたものを聞き取る方法)によって推定されました。カルシウム摂取量と高尿酸血症、および血清尿酸値との関連については、多変量ロジスティック回帰分析と線形回帰分析を用いて、他の要因の影響を調整したうえで評価されました。また、制限付き3次スプライン(RCS)という手法を使い、両者の関係が直線的なのか、それとも曲線的なのかについても視覚化されています。
対象者全体における高尿酸血症の割合は15.67%で、男性が20.21%、女性が11.66%でした。推定されたカルシウム摂取量の中央値は1日あたり352.87mgでした。カルシウム摂取量が最も少ない群(五分位のQ1)と比較すると、摂取量が多い群(Q4およびQ5)では高尿酸血症のオッズ比(起こりやすさの指標)がそれぞれ1.31倍(95%信頼区間1.02〜1.68)、1.55倍(95%信頼区間1.18〜2.04)と高く、摂取量が増えるほどこの傾向が強まる有意な用量反応関係が認められました(傾向性検定のP値=0.002)。血清尿酸値についても、Q1と比べてQ3、Q4、Q5の群では回帰係数がそれぞれ7.57、13.92、14.76(いずれも95%信頼区間の下限は正の値)となり、カルシウム摂取量が多いほど血清尿酸値も高くなるという、明確な正の直線的な用量反応関係が示されました。論文の著者らは、この関連は特に、普段からカルシウム摂取量が少なく、主に野菜からカルシウムを摂取している集団において見られたものだと述べています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は中国健康栄養調査という特定の集団を対象とした横断的なデータに基づくものであり、食事内容や生活習慣、遺伝的背景などが異なる他の国や地域の人々にそのまま当てはまるとは限りません。今回の要旨で述べられている範囲では、これは一つの研究による報告であり、カルシウム摂取と高尿酸血症との間に因果関係があると確定づけるものではありません。なお、著者らの所属機関は中国国内の大学・病院であり、日本の研究機関や日本の食品・食習慣についての言及は、提供された情報の中には含まれていません。
まとめ
今回紹介した研究では、中国人成人を対象とした調査において、食事から摂るカルシウムの量が多いグループほど、高尿酸血症のオッズ比や血清尿酸値が高い傾向にあり、摂取量が増えるほどこの傾向が強まる関連が報告されました。特に、日頃のカルシウム摂取量が少なく、主に野菜由来のカルシウムを摂っている人々でこの関連が見られたとされています。ただし、これは特定の集団を対象とした一つの研究の結果であり、健康効果や因果関係を断定するものではない点に留意する必要があります。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。出典(原著論文):中国人成人における食事性カルシウム摂取と高尿酸血症との関連:2009年中国健康栄養調査の結果(ビーエムシー・パブリックヘルス・2026年08月)
著者:Huanxiang Zhang(Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Jiamusi University, Jiamusi, China)、Xiaofang Sui(Department of Geriatrics, First Hospital of Jiamusi University, Jiamusi, China)、Xia Gu(Department of Cardiology, the Second Affiliated Hospital of Harbin Medical University, Harbin, China)、Hongbin Qiu(Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Jiamusi University, Jiamusi, China)、Shanjie Wang(Department of Cardiology, the Second Affiliated Hospital of Harbin Medical University, Harbin, China)、Yiying Zhang(Department of Epidemiology and Biostatistics, School of Public Health, Jiamusi University, Jiamusi, China)