食品を作る過程では、規格外品や加工の副産物など、まだ食べられるのに使われずに廃棄されてしまう「余剰原料」が発生します。こうした食品ロスを減らす取り組みは世界的な課題となっており、余剰原料を新しい食品として活用する『アップサイクル食品』への関心が高まっています。今回紹介する研究は、ジャーナル・オブ・カリナリー・サイエンス・アンド・テクノロジー誌に2026年08月に掲載予定のもので、食品産業の余剰原料を使ったチョコレートクッキーを実際に開発し、その栄養成分、微生物学的な安全性、官能評価(味や食感などの評価)、保存期間を調べています。著者らはUniversidade do Vale do Rio dos Sinosに所属しています。
どのような方法で調べたのか
研究チームは、食品産業から出た未包装の余剰原料を粉砕・均質化したうえで、標準化されたチョコレートクッキーの配合に組み込みました。できあがった製品について、微生物学的検査、物理化学的分析、官能評価、そして保存性(シェルフライフ)の試験が行われました。
研究でわかったこと
できあがったクッキーの成分は、炭水化物62%、水分8%、脂質18%、たんぱく質9%、食物繊維19%という構成でした。微生物学的検査では規制基準を満たしており、保存中も大きな変化は見られなかったと報告されています。
官能評価では、8gのサンプルを用いた評価で総合受容度指数が87.29%、購入意向は87%という結果が示されました。さらに、加速劣化試験(保存条件を厳しくして短期間で劣化の進み方を推定する試験)によって、官能評価の合格ライン(6.0点)と微生物学的な安定性の両方を基準に、90日間の保存が可能であることが確認されたとされています。
また、このアップサイクルクッキーは、食物繊維の含有量からブラジルの法規上『食物繊維源』に分類できるとされています。研究チームは、このような食品が食品産業にとって持続可能な選択肢となり、環境・社会・ガバナンス(ESG)の基準に沿い、循環型経済(サーキュラーエコノミー)を後押しする可能性があると述べています。
この研究の位置づけ・読むうえでの注意
この研究は、特定の配合・条件のもとで開発された1種類のクッキーについての評価結果であり、要旨の範囲では、使用された余剰原料の具体的な種類や、比較対象となる一般的なクッキーとの詳細な違いなどは明らかにされていません。ここで示された成分値や保存期間、官能評価の結果は、この研究で作られた製品に関する報告であり、食物繊維の摂取や健康への効果を保証するものではない点に留意してください。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではありません。
まとめ
この研究では、食品産業の余剰原料を使ったアップサイクルクッキーが開発され、栄養面・安全面・おいしさの面で一定の水準を満たし、90日間の保存が可能であることが確認されたと報告されています。食品ロス削減と食品開発を組み合わせた取り組みの一例として、今後の研究の広がりが注目されます。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:食品産業の余剰原料から製造されたアップサイクルクッキーの物理化学的、官能的、保存性の特性評価(ジャーナル・オブ・カリナリー・サイエンス・アンド・テクノロジー・2026年08月)