「誰かと一緒に食べる」という何気ない行為が、私たちの食事の中身にどんな関わりを持っているのでしょうか。近年、食事を家族や友人などと共にする「共食」が食生活や健康に関わる可能性があるとして注目されてきました。一方で、一人で食事をとる「孤食」が増えているとも言われています。今回紹介する研究は、日本人成人を対象に、共食をする人としない人とで、どのような属性や食行動、食品・栄養素の摂取に違いが見られるのかを調べたものです。
「へえ」と思わせる面白さは、共食の有無による差が男女で異なるパターンを示した点にあります。この記事では、その内容を要旨に基づいて紹介します。
どんな研究か
この研究では、食事と健康状態を把握する「すこやか健康調査」の2019〜20年夏調査に参加した、北海道・東京在住の20〜79歳の成人935名(男性286名、女性649名)を対象としました。1日分の食事記録から、共食があったかどうか、食事の状況、誰が調理を担当していたかを調べ、あわせて質問表から同居者の有無も把握しました。そのうえで、共食の有無と食品・栄養素等の摂取量との関連が解析されました。
わかったこと
1日に1食以上共食していた人は741名(79.3%)でした。共食のなかった人は、男性で55名(19.2%)、女性で139名(21.4%)でした。
食品の摂取量をみると、共食のない男性は共食のある男性に比べて魚介類の摂取が少ない傾向が見られました(p=0.06、統計的に「傾向がある」レベル)。共食のない女性は、共食のある女性に比べて肉類と菓子類の摂取が少ないという結果でした(p<0.05)。なお、エネルギー摂取量については、共食の有無による差は見られませんでした。
栄養素についても違いが見られました。共食のない男性は、共食のある男性に比べてナイアシン当量とビタミンB6の摂取が少ない結果でした(それぞれp=0.01)。一方、共食のない女性は、共食のある女性に比べて一部のミネラル類やビタミン類、総食物繊維の摂取が多いという結果が示されました。
これらの結果から、男性では共食の有無によって食生活の内容に差が見られた一方、女性では共食の有無にかかわらず、比較的健康的な食事内容であったことがうかがえます。論文の考察では、共食をしない男性については、調理を担当する人が偏っている可能性が関係しているのではないかと述べられており、健康的な食品を選びやすくする食環境を整えることが今後重要ではないかと考察されています。
この研究を読むうえでの注意
この研究は、ある時点における食事記録や質問票の結果をもとにした横断研究であり、共食と食品・栄養素摂取との「関連」を示すものであって、共食をすることが特定の食生活をもたらす、あるいはその逆であるという因果関係を証明するものではありません。また、対象は北海道・東京在住の成人であり、1日分の食事記録に基づく結果である点にも留意が必要です。この研究はあくまで一つの研究であり、これによって結論が確定したわけではありません。
まとめ
今回紹介した研究では、成人935名を対象に共食の実態を調べたところ、約8割の人が1日1食以上は誰かと共食をしていたことが示されました。共食のない人とある人とを比べると、男性では魚介類やナイアシン当量、ビタミンB6の摂取に違いが見られた一方、女性では共食の有無にかかわらず食事内容に大きな違いは見られなかったことが報告されています。共食と食生活の関連について考えるうえで、興味深い知見を提供する研究といえそうです。
※本記事は下記の原著論文を紹介するものです。参考文献:成人における共食の実態―属性・食行動特性ならびに食品・栄養素等摂取量との関連に関する横断研究―(J-STAGE 収録論文(日本)・2026年08月)