著者の所属・活動拠点の国は、イタリアです。
掲載誌:Food Research International
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ポテトチップスのように内部に小さな空洞を多く含む食品の「パリパリ感」は、かんだときに固い部分が壊れることと、そのときに出る音が組み合わさって生まれると考えられています。しかし、食品の立体的な内部構造、割れるときの力のかかり方、音が出るタイミングの並び方がどう結びついているかは、十分に解明されていませんでした。
研究チームは、内部構造の観察と、割れるときの力と音の同時測定を組み合わせ、パリパリ感を機器で数値として捉えるための手がかりを調べました。
何を調べたか
対象は、配合や製造方法が異なる市販のポテトチップス5銘柄です。著者らはまず、X線マイクロCT(X線を使って試料内部を細かく立体的に撮影する方法)で、全体に占める空洞の割合(空隙率)、固い部分の厚さ、固い部分どうしの間隔を測りました。
同時に、チップスを押し割るときの力と変形の関係と、音の強弱の変化を記録する装置(Acoustic Envelope Detector)による音の測定を行いました。そこから、硬さ、割るのに必要な仕事量、力のピークや音の発生回数、音の放出が半分に達するまでの時間(T₅₀)、音と音の間隔(IEI)のばらつきなどを求め、内部構造との関係を検討しました。
主な結果
抄録によると、どの試料も水分は2.5%未満で厚さも同程度でしたが、内部構造と割れ方の特徴ははっきり異なっていました。
銘柄Dは空隙率が最も低く(41.31%)、固い部分が最も厚く(152.34μm)、固い部分の間隔が最も狭い、詰まった構造でした。この銘柄は硬さ(361.90g)と割るのに必要な仕事量(458.62g·mm)が最も大きく、音の発生回数は最も少ない24.00回でした。著者らはこれを、力学的なエネルギーが多くたまった後に、少数の急激な破壊が起こることを示すものと解釈しています。
一方、空隙率が高く(59.05%)、固い部分が薄い(111.71μm)銘柄Cでは、音の発生回数が32.85回で、より細かく分散して壊れるパターンを反映していると報告されています。
音の最大の大きさ(91.20〜92.59dB)では製品間に有意な差はみられませんでした。これに対し、T₅₀(1.418〜1.802秒)や音の間隔のばらつきを表す変動係数(0.96〜2.14)は、割れが集中して規則的に起こる製品と、より不規則に起こる製品を区別できたとされています。多くの指標をまとめて傾向を見る主成分分析では、全体のばらつきの66.78%が説明され、銘柄Dがほかの銘柄からはっきり分かれました。
研究が示すこと
著者らは、パリパリ感のふるまいは、固い部分の形、空洞の構造、たまる力学的エネルギー、割れの回数、そして音が出るタイミングの相互作用から生まれると結論づけています。音の大きさだけでなく、音がいつ、どんな間隔で出るかに注目することで、内部構造にもとづいて食感を評価する枠組みになると論文は位置づけています。
原著論文の著者・所属:Valentina Lacivita(Laboratory of Emerging Technology and Food Formula (ETFF Lab), Department of Agriculture, Food, Natural Resources and Engineering (DAFNE), University of Foggia, Italy)、Rossella Caporizzi(Laboratory of Emerging Technology and Food Formula (ETFF Lab), Department of Agriculture, Food, Natural Resources and Engineering (DAFNE), University of Foggia, Italy)、Antonio Derossi(Laboratory of Emerging Technology and Food Formula (ETFF Lab), Department of Agriculture, Food, Natural Resources and Engineering (DAFNE), University of Foggia, Italy)、Carla Severini(Department of Agriculture, Environment and Food Sciences, University of Molise, Italy)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Valentina Lacivita, Rossella Caporizzi, Antonio Derossi, et al. Evaluating pore-driven fracture and acoustic emission pattern as instrumental descriptors of crispness in potato chips by integrating micro-CT and mechano-acoustic analysis.. Food Research International 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.foodres.2026.121088. 原著ライセンス:CC BY.