掲載誌:Asian Journal of Dairy and Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

揚げ物の油をどう減らすか

揚げ物は見た目や香り、歯ごたえが好まれる一方、油を多く含むことでカロリーが高くなる点が課題とされています。揚げている間に食品の水分が急速に抜けると内部に小さな孔ができ、揚げた後に冷める段階で表面の油がその孔へ引き込まれることが、これまでの研究で報告されています。

こうした吸油を抑える手段のひとつが、食べられる薄い膜で食品の表面を覆う「可食性コーティング」です。インドの研究チームは、葉物野菜として食べられる赤アマランサス(ヒユナ)の葉に着目しました。アマランサスについては種子(穀粒)由来の成分の研究が中心で、葉から膜を作る成分を取り出し、実際の揚げ調理で吸油を減らせるかを調べた例は限られていたためです。研究チームは、葉から取り出した多糖類(糖が多数つながった高分子で、とろみや膜を作る性質をもつものがある)をポテトチップスのコーティングに使い、その効果を評価しました。

葉から多糖類を取り出し、ジャガイモに塗って揚げる

研究チームは、新鮮な葉2キログラムを洗って刻み、冷水とエタノールで前処理して色素などを除いたあと、弱酸性の条件下で85℃の熱水に2時間浸して成分を抽出しました。ろ過した抽出液にエタノールを加えて多糖類を沈殿させ、乾燥させて粉末にしたところ、得られたのは約8グラムで、生の葉の重さに対する収率は約0.4%でした。

この粉末を0.2〜1.0%の濃度で溶かし、膜をしなやかにするグリセリンと、液をなじみやすくする界面活性剤を加えてコーティング液を作りました。薄く切ったジャガイモをこの液で覆い、塩化カルシウム溶液に浸して膜の成分どうしを結びつけ(架橋)、予備乾燥したうえで170℃の油で揚げました。揚げたチップスに含まれる油の量は、溶剤で油分を抽出して量る方法で測定し、あわせて色と割れにくさ(割るのに必要な力)も機器で測りました。

0.8%のコーティングで吸油が約15%減少

論文によると、コーティングをしていないチップスの油の含有率は6.45%でした。これに対し、0.8%のコーティングを施したチップスでは5.48%となり、約15%の減少が報告されています。研究チームは、この濃度で表面に均一で途切れのない膜ができ、水分が抜けることと油がしみ込むことの両方を抑えたためと考えています。

一方で、どの濃度でも同じように効いたわけではありません。0.6%ではむしろ6.61%とわずかに増えており、著者らは、この濃度では膜が薄すぎたり途切れたりして、油の侵入を防ぐ壁として十分に働かなかった可能性を挙げています。

食感については、コーティングしたチップスでは割るのに必要な力が対照より大きくなりました。要旨では、コーティングしたチップスの平均の破断力は2,292グラムで、許容できるパリッとした食感が保たれていたと報告されています。色はコーティングによって暗めになり、赤みと黄みが強まりました。著者らは、膜が揚げる際の熱や水分の移動を変えて褐色化が進んだことに加え、赤アマランサスの葉に由来する天然色素も関わっていると説明しています。

身近な葉物野菜を揚げ物の素材に生かす試み

この研究は、これまであまり注目されてこなかった赤アマランサスの葉から膜を作る多糖類を取り出し、実際に揚げたポテトチップスで吸油を減らせることを示しました。効果は濃度によって大きく異なり、適した濃度を選ぶことが重要だという点も結果から読み取れます。

なお著者らは、今回の抽出法では収率が低いことや、取り出した多糖類の種類・構造がまだ詳しく調べられていないこと、消費者による味や食感の評価が行われていないことを、残された課題として挙げています。

著者:Mayur Hemade、Mansi Takawane、Vaishnav Mohak、Mohd Shams Ansari、Manthan More、Prerana Shere

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mayur Hemade, Mansi Takawane, Vaishnav Mohak, et al. Exploring Red Amaranth (Amaranthus tricolor) Leaf Polysaccharides as Functional Barriers against Oil Absorption in Fried Chips. Asian Journal of Dairy and Food Research 2026-10-07. DOI: 10.18805/ajdfr.dr-2503. 原著ライセンス:CC BY.