著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Journal of Gastro Tourism

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは、身近な農産物を食品に生かす取り組みが進められています。その素材の一つが、βカロテンを多く含む黄色いサツマイモです。著者らは、このサツマイモをスポンジケーキのような焼き菓子に使う場合、加熱の仕方によって色や香り、食感が変わる点に注目しました。

論文によると、サツマイモを使った菓子のこれまでの研究は、小麦粉の一部をサツマイモ粉に置き換えるといった材料配合の工夫が中心でした。調理法そのものを比べた研究は限られていたといいます。そこで研究チームは、「蒸す」「オーブンで焼く」「湯煎焼き(オ・バン・マリー)」の三つの方法で黄色いサツマイモのケーキを作り、どの方法が最も好まれるかを調べました。

どのように調べたか

三種類のケーキは、黄色いサツマイモ粉、小麦粉、砂糖、卵、ココナッツミルク、油、粉乳などを同じ配合で使い、加熱方法だけを変えて作りました。蒸すケーキは蒸し器で約100℃・35分、焼くケーキは電気オーブンで170℃・30分加熱しました。湯煎焼きは、型を湯を張った大きな天板に置き、オーブンで160℃・45分加熱しています。

評価には「官能評価」を用いました。これは、人が実際に見て、においをかぎ、食べて、色・香り・食感・味を判定する方法です。評価者は二つのグループに分かれます。一つは、ホテルの製菓担当者と製菓の教員からなる専門家5人です。もう一つは、学生や一般の人からなる非専門家50人で、消費者の代表という位置づけです。各項目は「とても嫌い」の1点から「とても好き」の4点までの4段階で採点しました。中間の選択肢をなくし、好き・嫌いのどちらかをはっきり答えてもらう狙いがあります。集計では平均値やばらつき(標準偏差)などを求めました。

主な結果

非専門家50人の評価では、オーブンで焼いたケーキが四つの項目すべてで最も高い平均点を得ました。色が3.72、味が3.66、香りが3.60、食感が3.50です。評価のばらつきも0.50〜0.61と三つの方法の中で最も小さく、評価者の間で好みが比較的そろっていたことを示しています。論文は、蒸したケーキを中間、湯煎焼きのケーキを最も低い評価と位置づけています。

専門家5人の評価でも、焼いたケーキは色(3.60)と香り(3.40)で最も高い点を得ました。ただし食感と味は、蒸したケーキと焼いたケーキがともに3.20で並びました。著者らはこの結果について、専門家が蒸し調理によるしっとり感も評価していたと解釈しています。湯煎焼きのケーキは、専門家の評価でも全体に低めでした。

焼いたケーキが高く評価された理由について、著者らは、高温で焼く際に起こるメイラード反応(糖とたんぱく質などが反応して色や香ばしさを生む変化)やカラメル化が関係している可能性を挙げています。湯煎焼きの評価が低かった点については、間接的な加熱で生地の温度が上がりにくく、構造や焼き色の皮が十分にできなかったためと説明しています。

この研究が示すこと

研究チームは、黄色いサツマイモのケーキでは、オーブンで焼く方法が消費者の好みに最も合っていたと結論づけています。料理人や製菓業界に向けては、この方法を標準的な調理法とすることを提案しています。一方で著者ら自身も、今回の分析は平均値などの記述的な集計にとどまり、方法間の差を統計的に検定していない点を限界として挙げています。地元の食材を使った菓子づくりでは、材料の配合だけでなく加熱の方法も、食べる人の受け止め方を左右する要素になる。この研究はそのことを示しています。

原著論文の著者・所属:Jelita Rusmawati(Department of Hospitality, Sekolah Tinggi Pariwisata Bogor, Indonesia)、Aggy Lestari Dwi Putri(Department of Hospitality, Sekolah Tinggi Pariwisata Bogor, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jelita Rusmawati, Aggy Lestari Dwi Putri Organoleptic Test Analysis of Yellow Sweet Potato Cake with Steaming, Baking, and Au Bain Marie Processing Methods. Journal of Gastro Tourism 2026-09-04. DOI: 10.52465/jogasto.v4i2.3. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。