著者の所属・活動拠点の国は、ベナン、ベルギーです。

掲載誌:International Journal of Advanced Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

西アフリカのベナンでは、落花生は穀物やイモ類を中心とする食事を補うたんぱく源です。落花生油、炒り落花生、そして落花生から作る揚げ菓子「クルイクルイ」は、ベナンとその周辺国で広く食べられ、売られています。これらの多くは、世代を超えて受け継がれた経験的な技術をもとに、簡素な道具を使って小規模に作られています。そのため、作り手によって手順や条件がかなり異なります。

著者らによると、これまでの研究は乾燥や焙煎など個々の工程や、一部の品質項目を個別に調べたものが中心でした。原料から製品までの全工程を通して、材料がどれだけ残りどれだけ失われるかの収支や、途中段階の性状はほとんど記録されていません。研究チームは、伝統的な加工法の違いが、作業時間、材料の収支、中間産物と最終製品の性質にどう影響するかを、実際の生産現場で数値として捉えることを目指しました。

何をどのように調べたか

調査はベナン南部から中部の4つの自治体で行われました。落花生加工に10年以上携わってきた女性加工者18人が協力しました。原料の違いが結果に影響しないよう、全員に、地元でよく使われる在来品種「フォンクイン」を同じ生産者から届けました。各試行では25キログラムの落花生を使い、加工者がそれぞれのいつものやり方で加工しました。

クルイクルイと落花生油は同じ工程から作られます。落花生を焙煎して皮を除き、すりつぶしてペーストにし、水を加えて手でこねて油を分離します。油を搾った後の生地を成形し、油で揚げたものがクルイクルイです。研究では、地域ごとに異なる3つのやり方を比べました。一つ目は熱湯でこね、別の圧搾工程を設けない方法です。二つ目は冷水でこねて手で圧搾し、トウモロコシ粉を加える方法です。三つ目は冷水でこねて圧搾し、粉を加えない方法です。

炒り落花生では、熱の伝え方が異なる3つの方法を比べました。鍋で直接炒る方法、白い粘土の粉(現地語でホウェ)と一緒に炒る方法、乾燥したトウモロコシのぬか(フロフロ)と一緒に炒る方法です。クルイクルイと油、炒り落花生のそれぞれで27回ずつ生産を行い、記録しました。

研究チームは各工程の作業時間と、火や鍋、落花生の温度を測りました。あわせて、各工程に入る材料と出てくる材料の重さを記録し、収支(マスバランス)を求めました。持ち帰った試料では、乾物量、脂質量、水分活性、食感、油の劣化指標などを分析しました。水分活性は、食品中の水のうち微生物や化学反応が利用しやすい水の度合いを示します。油の劣化指標には、酸価(油が分解してできる遊離脂肪酸の量)と過酸化物価(酸化の進み具合)を用いました。

主な結果

加工法によって、選別、焙煎、すりつぶし、こね、圧搾、成形、揚げといった多くの工程で、作業時間や温度に統計的に意味のある差が見られました。たとえばクルイクルイと油の製造では、熱湯でこねて圧搾しない方法が、こね、成形、揚げの各工程で最も長い時間を要しました。全工程の平均時間は約1316分で、冷水で粉を加えない方法の約571分の2倍以上でした。著者らはこれを、圧搾をしない分、生地に水分や油分が多く残るためだと考えています。その結果、成形と揚げに手間と時間がかかるという説明です。

油の取れ方にも差がありました。分離できた粗油の量は、ペーストの重さに対して25.3〜32.0%の範囲でした。炒り落花生では、トウモロコシぬかと一緒に炒る方法が最も強い火を使い、豆の温度も高くなりました。焙煎工程だけで見ると、この方法は重量の残り方が最も少なく、鍋で直接炒る方法が最も多く残りました。

一方で、こうした途中段階の違いは、最終製品の段階ではおおむね小さくなっていました。原料に対するクルイクルイの最終的な収率は59.5〜59.8%、炒り落花生の収率は76.1〜78.1%でした。どちらも加工法の間で統計的な差はありませんでした。炒り落花生の乾物量、脂質量、水分活性など多くの性質も、熱の伝え方の違いによる有意な影響を受けていませんでした。

ただし、加工法によって違いが残った品質項目もあります。クルイクルイを割るのに必要な力(硬さ)と、粗い落花生油の酸価・過酸化物価は、加工法によって異なっていました。

研究が示すこと

著者らは、伝統的な加工法の違いが作業の進み方や中間産物に大きなばらつきを生む一方、最終製品の特性は比較的安定していたとまとめています。そのうえで、今後加工を改善する際には、伝統的なやり方を全面的に統一する必要はないとしています。品質に影響する重要な工程や項目に絞って取り組むべきだという考えです。経験に基づく多様な作り方が、それぞれの道筋を通って似た製品にたどり着いていることを、現場の数値で示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Mawougnon Jaures Martial Adjeniya(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin)、Christin Sogbossi Gbetokpanou(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin. 2. Laboratory of Food Analysis, Department of Food Sciences, Fundamental and Applied Research for Animals & Health, Veterinary Public Health, University of Liege, Liege, Belgium. 3. Laboratory of Agro-food Quality and Safety, Axis Chemistry for Sustainable Food and Environmental Systems, Gembloux Agro-Bio Tech, Université de Liege, Gembloux, Belgium)、Herbert Ogouyom Iko Afe(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin)、Dona Gildas Hippolyte Anihouvi(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin)、Marianne Sindic(3. Laboratory of Agro-food Quality and Safety, Axis Chemistry for Sustainable Food and Environmental Systems, Gembloux Agro-Bio Tech, Université de Liege, Gembloux, Belgium)、Paulin Azokpota(Laboratory of Food Science and Technology , University of Abomey-Calavi , Abomey- Calavi , Benin)、Djidjoho Joseph Hounhouigan(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin)、Yann Emeric Madode(1. Laboratory of Food Science and Technology, University of Abomey-Calavi, Abomey-Calavi, Benin)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mawougnon Jaures Martial Adjeniya, Christin Sogbossi Gbetokpanou, Herbert Ogouyom Iko Afe, et al. FROM PROCESS VARIABILITY TO PRODUCT STABILITY: EFFECTS OF TRADITIONAL PROCESSING PRACTICES ON PHYSICOCHEMICAL QUALITY OF KLUIKLUI, PEANUT OIL AND ROASTED PEANUTS IN BENIN. International Journal of Advanced Research 2026-10-24. DOI: 10.21474/ijar01/24364. 原著ライセンス:CC BY.