著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Gaster | Jurnal Ilmu Kesehatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

腹痛や胃の焼けるような感じ、吐き気、膨満感、食欲低下といった消化器の症状は、思春期の若者にもよく見られます。こうした症状には日々の食べ方やストレスが関わっている可能性が指摘されてきましたが、思春期を対象としたこれまでの研究では、食習慣とストレスの両方が関連するという報告もあれば、どちらか一方だけが関連するという報告もあり、結果は一致していませんでした。

研究チームが注目したのは、インドネシア・バンテン州ルバック県の寄宿学校で暮らす生徒です。寄宿学校では日課が決まっていて自由時間が少なく、学業の負担もあります。そのため食事の時間が不規則になったり、遅刻を恐れて食事を抜いたりしやすく、家族と離れた環境への適応もストレスになりえます。著者らは、ストレス、食習慣、過去の胃の不調の有無が、生徒が自分で報告した消化器症状とどのように関連しているかを調べました。

どのように調べたか

研究は、ある一時点の状態を調べる横断研究として、2025年1月から4月に行われました。学年ごとに層を分けて無作為に選んだ12〜18歳の生徒111人(平均年齢は約15歳)が対象です。入学前にすでに胃炎と診断されていた生徒は対象から除かれています。

生徒は質問票に回答しました。消化器症状は14項目で尋ね、合計点から症状の程度を「軽い」と「中等度以上」に分けています。著者らは、ここでの消化器症状はあくまで本人が感じた不調の集まりであり、医師による胃炎の診断とは異なると明記しています。ストレスはインドネシア語版の標準的な心理尺度で測り、「ストレスあり」と「なし」に分けました。食習慣は、食事の回数や時間、量、辛い物や酸っぱい物、インスタント食品、コーヒーや清涼飲料の摂取などを尋ねる16項目で評価し、「適切」と「不適切」に分類しました。

分析では、それぞれの要因がある生徒とない生徒で、中等度以上の症状を持つ人の割合が何倍異なるかを示す「有病率比」を求めました。有病率比が1より大きければその要因がある群で症状が多く、1より小さければ少ないことを意味します。

主な結果

回答者の半数あまり(53.15%)が過去に胃の不調を経験したと答えました。消化器症状が軽い生徒は56.76%で、残りは中等度以上でした。

複数の要因を同時に考慮した分析で、ストレスがある生徒はない生徒に比べて中等度以上の症状を持つ割合が約1.59倍、過去に胃の不調がある生徒はない生徒に比べて約1.57倍高いと報告されました。一方、食習慣が「不適切」と分類された生徒では、「適切」と分類された生徒より症状のある割合が低く、有病率比は0.57でした。年齢や性別については、症状との統計的に意味のある関連は見られませんでした。

著者らはこれらの結果の読み方について、いくつかの注意を示しています。まず、一時点の調査なので、ストレスや食習慣が症状を引き起こしたという因果関係は示せず、あくまで関連にとどまります。また、症状の質問の中に「食事が遅れたときの痛み」や「朝食を抜いたときの不快感」のように食習慣そのものに関わる項目が含まれており、食習慣と症状の測定が一部重なっていることが、食習慣と症状の関連の見え方に影響した可能性があると述べています。さらに論文の要旨では、食習慣の分類ごとの人数が表の間で一致しておらず、確認が必要だとも記されています。

この研究が伝えること

寄宿学校で暮らす生徒において、ストレスや過去の胃の不調の経験が、本人が感じる消化器症状の多さと結びついていることが報告されました。食習慣についても関連は見られたものの、その方向や大きさは測定方法の重なりなどを踏まえて慎重に受け止める必要があると著者らは強調しています。著者らは、ストレスへの対応や規則正しい食事、症状への目配りが寄宿学校の健康づくりに関わりうるとしつつ、具体的な取り組みの効果はこの研究では評価していないと述べています。

原著論文の著者・所属:Ita Marlita Sari(Medicine Science, Sultan Ageng Tirtayasa University Banten)、Syahla Akhwazain(Medicine Science, Sultan Ageng Tirtayasa University Banten)、Omat Rachmat(Medicine Science, Sultan Ageng Tirtayasa University Banten)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ita Marlita Sari, Syahla Akhwazain, Omat Rachmat Stress, Dietary Patterns, History of Stomach Disorders, and Gastrointestinal Symptoms in Boarding-School Students. Gaster | Jurnal Ilmu Kesehatan 2026-08-31. DOI: 10.30787/gaster.v24i2.2575. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。