著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Keperawatan Padjadjaran
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
インドネシアでは、慢性的な栄養不足などにより子どもの身長が年齢に比べて低くなる「発育阻害(スタンティング)」が、依然として大きな公衆衛生上の課題とされています。研究チームによると、母親は知識の不足や周囲の支援の乏しさ、行動を後押ししにくい環境のために、子どもに必要な栄養を満たすことが難しい場合が多いといいます。
著者らは、的を絞った教育、栄養価の高い地元食材を手に入れやすくすること、そしてスマートフォンなどのモバイル端末を使った支援を組み合わせて母親の行動を強めることが重要だと考えました。そこで、モバイルアプリを用いた栄養支援が、母親の知識・態度・実践(KAP)と幼児の成長にどのような効果をもたらすかを評価しました。
どのように調べたか
この研究は、健康教育の計画づくりに用いられる「PRECEDE–PROCEED モデル」という枠組みに沿って設計されました。方法は準実験研究で、厳密な無作為化比較試験とは異なり、対象者の選び方などに一定の制約がある研究デザインです。
研究には母親と幼児の138組が参加しました。参加者は研究目的に合う人を意図的に選ぶ方法で集められ、地域などのまとまり(クラスター)ごとに単純無作為抽出を行って、支援を受ける介入群と比較のための対照群に同数ずつ分けられました。
主に調べたのは、発育阻害、子どもの栄養状態の見守り、そして地元で入手できる魚であるナイルティラピアを使った食事づくりについての、母親の知識・態度・実践です。介入の前後に、知識・態度・行動を尋ねる質問票と、子どもの発達を確認する発達スクリーニング用の質問票を用いてデータを集め、統計的に比較しました。
主な結果
研究開始時点の参加者の特徴は、両群でおおむね同等でした。介入後、介入群の母親は対照群と比べて、知識(平均18.72対17.20)、態度(85.97対75.09)、実践(77.06対70.13)のいずれも統計的に有意に高い値を示したと報告されています。
子どもの成長については、年齢に対する身長の程度を示す指標(年齢別身長スコア)が、介入群で0.70、対照群でマイナス1.06となり、有意な差が認められました。一方、子どもの発達の指標(介入群9.54、対照群8.94)には有意な変化はみられなかったとされています。
研究が示すこと
著者らは、母親の知識と態度が高まり、地元の食材が手に入りやすく簡単なレシピが示されたことで新しい行動が取り入れやすくなり、モバイル上の学習教材がその改善の維持を助けたと考察しています。また、分野を越えた連携によって母親向け教育を標準化し、この支援を国の発育阻害対策に組み込みやすくできる可能性にも触れています。
今回の報告は、身近な地元食材とスマートフォンを組み合わせた栄養支援が、母親の意識や行動、そして幼児の身長の指標の違いと結びついていたことを示すものです。ただし、子どもの発達の指標には有意な変化がみられなかった点もあわせて報告されています。
原著論文の著者・所属:Daniel Akbar Wibowo(Universitas Sebelas Maret, Surakarta, Central Java, Indonesia)、Yulia Lanti Retno Dewi(Universitas Sebelas Maret, Surakarta, Central Java, Indonesia)、Nur Hafidha Hikmayani(Faculty of Medicine University of Sebelas Maret)、Sri Mulyani(Universitas Sebelas Maret, 57126, Surakarta, Central Java, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Daniel Akbar Wibowo, Yulia Lanti Retno Dewi, Nur Hafidha Hikmayani, Sri Mulyani Effectiveness of a mobile app-based intervention using local foods on maternal knowledge, attitude, practice, and toddlers’ growth: A quasy experimental study. Jurnal Keperawatan Padjadjaran 2026-08-27. DOI: 10.24198/jkp.v14i2.3088. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。