この研究は、ブラジルの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Probiotics and Antimicrobial Proteins

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

食品加工の副産物を乳酸菌の保護に使う

研究チームは、ブドウの搾りかすを乾燥・粉砕した粉末をカプセルの材料に加えることで、乳酸菌の一種であるラクトカゼイバチルス・ラムノサスGG(LGG)を保護できるか調べました。食品への利用で課題となる、保存中や加熱時、消化管を通過する際の生きた菌の減少を抑えることが研究の目的です。

カプセルの基本材料には、カルシウムと反応してゲルをつくるアルギン酸ナトリウムを使いました。ブドウの搾りかすには食物繊維やフェノール性化合物などが含まれるため、著者らは、これを加えることでアルギン酸だけの場合より菌を守れると考えました。

カプセルを作り、保存中の生存を比較

研究チームは、粉末が均一に分散しやすかった1.5%の濃度を選び、乳酸菌とアルギン酸を混ぜた液をカルシウム溶液に滴下してカプセルを作りました。そのうえで、ブドウ粉末入りのカプセル、アルギン酸だけのカプセル、カプセルに入れていない菌を比較しました。

緩衝液中で28日間保存した試験では、ブドウ粉末入りのカプセルが最もよく生きた菌を維持しました。4℃の冷蔵条件では、アルギン酸だけのカプセルで菌数が徐々に減ったのに対し、ブドウ粉末入りでは高い菌数が保たれました。25℃では全体に菌数の減少が大きくなりましたが、ブドウ粉末入りの保護効果はこの条件でも見られました。

消化液や加熱への耐性はどう変わったか

胃の酸性環境と消化酵素を再現した試験では、カプセルに入れていない菌は急速に減り、120分後には生存が確認されなくなりました。一方、カプセルに入れた菌はより多く生き残り、特にブドウ粉末入りが高い保護効果を示しました。

胆汁酸や消化酵素を含む模擬腸液でも、カプセル内の菌は生存しました。ブドウ粉末入りでは、回収できた生きた菌の数がいったん減った後に増えましたが、著者らは、これを必ずしも菌の増殖とは捉えていません。カプセルからの段階的な放出や、一時的に傷んだ菌の回復を反映した可能性があり、その仕組みは直接調べていないと説明しています。

加熱試験では、カプセルに入れていない菌は、試した二つの条件で不活化されました。カプセル入りの菌は生き残りましたが、ブドウ粉末の効果は加熱条件によって異なりました。72℃で15秒の加熱では粉末入りの方が多く生き残った一方、63℃で30分の加熱ではアルギン酸だけの方が高い生存を示しました。

研究が示した意味

著者らの報告は、ブドウの搾りかすをアルギン酸に組み合わせることで、保存中や模擬胃液中で乳酸菌を保護する性能を高められることを示しています。ただし、加熱時の効果は条件に左右されました。食品加工の副産物を、乳酸菌を守るカプセルの構成材料として活用できる可能性を示した研究です。

著者:Luciana Furlaneto-Maia(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil. [email protected])、Milena Matesco Carreteiro(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、Matheus Henrique Nogueira(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、Luana Martins de Carvalho(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、Mariana Lima Braga(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、André Ricardo Peron dos Santos(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、Bruna Camila Souza Lima(Department of Food Technology, Universidade Tecnológica Federal do Paraná, Londrina, 86036-370, Brazil)、Márcia Cristina Furlaneto(Department of Microbiology, Universidade Estadual de Londrina, Londrina, Paraná, C.P. 6001, 86051-990, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Luciana Furlaneto-Maia, Milena Matesco Carreteiro, Matheus Henrique Nogueira, et al. Alginate–Grape Pomace Flour Microcapsules for Enhanced Protection and Delivery of Lacticaseibacillus rhamnosus GG. Probiotics and Antimicrobial Proteins 2026-09-29. DOI: 10.1007/s12602-026-11228-y. 原著ライセンス:CC BY.