著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Manajemen dan Pariwisata
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
インドネシアのバンドン市では飲食店やカフェが急増し、競争が激しくなっています。研究チームは、地元の飲食ブランド「Memanja Rasa(メマンジャ・ラサ)」を対象に、デジタルマーケティングと消費者の購買決定の関係を調べました。
注目したのは二つの要素です。一つは、店側が発信するインスタグラムの投稿(メニュー写真、宣伝動画、ストーリーズなど)です。もう一つは「電子的な口コミ(e-WOM)」です。e-WOMは、ネット上で消費者どうしが共有するレビューや評判を指します。論文は、店側からの一方的な発信だけでは購買につながりにくくなっていると述べています。消費者が、ほかの利用者の声からより客観的な裏付けを求めるようになっているためです。
研究の目的は二つありました。インスタグラムの投稿内容、口コミ、購買決定について、消費者の評価がどのような状況かを把握すること。そして、投稿と口コミが購買決定にどの程度影響しているかを、それぞれ単独の場合と両方を合わせた場合で分析することです。
調べた方法
研究チームは、Memanja Rasaの利用者92人にオンラインのアンケートを配布しました。回答者は、条件に合う人を意図的に選ぶ「目的的抽出」で集めています。
口コミの評価は三つの側面から測りました。レビューの量や頻度、意見が好意的かどうか、レビューに含まれる情報の中身です。
集めた回答は「重回帰分析」で分析しました。重回帰分析は、複数の要因が一つの結果とどの程度結びついているかを、まとめて推定する統計手法です。
主な結果
回答者による平均評点は、インスタグラムの投稿内容が4.22、口コミが4.20、購買決定が4.26でした。論文はこれらを「非常に良い」または「良い」と区分しています。口コミは三つの中で最も低く、著者らはまだ改善の余地がある点だと述べています。
分析の結果、インスタグラムの投稿内容と口コミは、どちらも単独で購買決定に対して統計的に有意なプラスの影響を示したと報告されています。報告された回帰係数は、投稿内容が0.369、口コミが0.359です。二つを合わせた分析でも、有意なプラスの影響が確認されたとしています。
二つの要素を合わせると、購買決定のばらつきの73.8%を説明できると報告されています。残りの26.2%は、今回の分析に含まれていない別の要因に関係するとしています。ただし著者らは、その要因が何かはこの分析からは特定できないと述べています。また、モデルの中では、インスタグラムの投稿のほうが口コミよりも相対的に大きく寄与していたと報告しています。
参考として、同店のインスタグラム分析データも紹介されています。2026年4月18日から5月17日までの期間では、反応の42%が短尺動画のリールによるものでした。また、表示回数の77%はフォロワー以外のユーザーからでした。ただし著者らは、表示回数や反応が多いことを、実際の購入と同じものとして扱うべきではないと指摘しています。
研究が示すこと
この研究は、地元の一つの飲食ブランドで、店が発信するインスタグラムの投稿と消費者どうしの口コミが、どちらも購買決定と強く結びついていることを示しました。著者らは、魅力的で分かりやすい投稿を続けることと、良いサービスや丁寧な対応を通じて好意的な口コミが生まれやすい体験をつくることを、組み合わせて進める重要性を挙げています。
一方で、著者らはいくつかの注意点も示しています。回帰分析の前提となる条件のうち、データの分布が正規分布に従うかを確かめる検定と、誤差のばらつきが一定かを確かめる検定で、懸念のある結果が出ました。そのため、結果は慎重に読む必要があるとしています。また、調査対象は一つの店舗の92人に限られており、バンドンの飲食業全体にそのまま当てはめることはできないとしています。
原著論文の著者・所属:Zia Kemala(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata - Yapari)、Khoirul Fajri(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata - Yapari)、Naufal Pratama Putra(Sekolah Tinggi Ilmu Ekonomi Pariwisata - Yapari)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zia Kemala, Khoirul Fajri, Naufal Pratama Putra Pengaruh Konten Media Sosial Instagram dan Electronic Word of Mouth (E-WOM) Terhadap Keputusan Pembelian di Memanja Rasa. Manajemen dan Pariwisata 2026-10-30. DOI: 10.32659/jmp.v5i2.738. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。