著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

貧血は、思春期の女子に多い公衆衛生上の問題です。著者らによると、思春期の女子の貧血は成長や集中力、学習能力に影響するおそれがあり、その後の妊娠前や妊娠中にも続く可能性があるため、早くから予防することが大切とされています。

貧血に関わる要因として、著者らは二つに注目しました。一つはたんぱく質です。たんぱく質は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料となり、鉄を運ぶたんぱく質(トランスフェリン)の合成にも関わります。もう一つは月経の期間です。月経が長く続くと失われる血液の総量が増え、体内の鉄の蓄えが減る可能性があります。

思春期女子の貧血についての研究は数多くありますが、この二つの要因を同時に取り上げ、貧血のある人とない人で比べた研究は限られていました。そこで研究チームは、インドネシア・バンドンのスカパキル保健所の管轄地域で、貧血のある女子生徒とない女子生徒の間に、たんぱく質の充足度と月経期間の違いがあるかを調べました。

どのように調べたか

調査は2025年1月から2月にかけて、同地域の中学校・高校4校で行われました。対象は、すでに月経があり健康状態に問題のない15〜19歳の女子生徒64人です。研究チームが条件に合う生徒を選び、貧血のある32人と貧血のない32人の二つのグループに分けました。

貧血かどうかは、デジタル式の測定器で測ったヘモグロビン値が1デシリットルあたり12グラム未満かどうかで判定しました。たんぱく質の摂取量は、前日24時間に食べたものを聞き取る調査を、連続しない2日間に行って把握しました。その摂取量を、体重で補正したインドネシアの栄養摂取基準と比べ、基準の何%を満たしているかを「たんぱく質の充足度」としました。月経期間は質問票を使った聞き取りで調べました。

この研究は、ある一時点のデータをもとに二つのグループを比べる「横断研究」と呼ばれる方法です。そのため、どちらが原因でどちらが結果かを判断することはできません。また、栄養状態や身体活動、ビタミン・ミネラルの摂取といった、結果に影響しうる他の要因を統計的に調整していないことも、著者ら自身が明記しています。

主な結果

たんぱく質の充足度は、貧血のあるグループで平均74.4%、貧血のないグループで平均87.8%と、貧血のあるグループのほうが低く、その差は統計的に意味のあるものでした。充足度が基準の80%未満の「不足」に当たる生徒は、貧血のあるグループで59.4%、貧血のないグループで43.8%でした。

月経期間は、貧血のあるグループで平均約6.0日、貧血のないグループで平均約5.3日と、貧血のあるグループのほうが長く、こちらも統計的に意味のある差でした。月経が6日を超える生徒は、貧血のあるグループでは46.9%と半数近くいたのに対し、貧血のないグループでは15.6%でした。

ただし、差の大きさを示す指標(効果量)は、どちらも「小さい」に分類されました。著者らは、たんぱく質の充足度だけで貧血の有無が分かれるわけではないと述べています。また、月経の期間は出血量と必ずしも一致せず、この研究では出血量や体内の鉄の蓄えを示すフェリチンを測っていないため、鉄欠乏による貧血や月経の出血量が多いことまでは確かめられないとしています。

研究から分かること

この研究では、貧血のある女子生徒のほうが、たんぱく質の充足度が低く、月経期間が長いという傾向が示されました。一方で、差は小さく、調査方法の性質上、たんぱく質不足や長い月経が貧血を引き起こしたとまでは言えないと、著者らは慎重に位置づけています。

そのうえで著者らは、学校や保健所が、多様でバランスのよいたんぱく質源の食べ方を伝える栄養教育を強化し、とくに月経が長いと答えた生徒を中心にヘモグロビン値を確認していくことが、貧血予防の取り組みに役立つ可能性があると述べています。食事と月経という身近な二つの側面から、思春期女子の貧血を見ていく手がかりを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Shadiqa Bilqisthi Aulia Nurrahman(Universitas Pendidikan Indonesia)、Ahdiyatul Fauza(Universitas Pendidikan Indonesia)、Delita Septia Rosdiana(Universitas Pendidikan Indonesia)、Syifa F. Syihab(Universitas Pendidikan Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Shadiqa Bilqisthi Aulia Nurrahman, Ahdiyatul Fauza, Delita Septia Rosdiana, Syifa F. Syihab Perbedaan kecukupan protein dan durasi menstruasi antara remaja putri anemia dan tidak anemia di wilayah kerja Puskesmas Sukapakir, Bandung. Jurnal SAGO Gizi dan Kesehatan 2026-08-07. DOI: 10.30867/gikes.v7i2.2629. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。