豆腐には、木綿豆腐や絹ごし豆腐のほかに、充てん豆腐というものもあります。木綿と絹ごしは型箱で固めてから切り分けますが、充てん豆腐は詰めた容器の中で固まります。日本食品標準成分表でも、この三つは別々の食品として載っています。この記事では三つの作り方を見比べ、そのうえで木綿と絹ごしのカルシウムの量を、豆乳を固める材料ごとの区分で確かめます。

三つとも「豆乳を固めたもの」

どの豆腐も、水に浸した大豆をすりつぶして加熱し、繊維などを「おから」としてこし取った豆乳に、凝固剤を加えて固めたものです。凝固剤とは、豆乳を固めるために加える材料のことです。三つの作り方を見ると、この豆乳を固める工程がそれぞれ違います。

木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加えていったん固めたものを崩し、布を敷いた型箱に移します。そこで圧力をかけて水分を絞り、もう一度固めて形を整えてから切り分けます。

絹ごし豆腐は、豆乳と凝固剤を型箱の中で混ぜ合わせ、崩さずに全体をそのまま固めてから切り分けます。使う豆乳も違い、農林水産省の説明によると、絹ごし豆腐には木綿豆腐よりも濃い豆乳を使います。

充てん豆腐は、冷やした豆乳に凝固剤を加えて容器に詰め、密閉してから加熱して固め、そのあと冷やして作ります。

固める材料とカルシウム

カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルで、主に骨や歯にあり、骨格をつくる大切な物質です。豆腐でこの成分を見るときに関わってくるのが、先ほどの凝固剤です。

凝固剤には、すまし粉とも呼ばれる硫酸カルシウムを主にしたものや、にがりとも呼ばれる塩化マグネシウムを主にしたものがあります。成分表の説明では、豆腐のミネラルの違いは製造方法の違いによるもので、なかでも凝固剤の種類の影響が大きいとされています。すまし粉を主に使うとカルシウムが多くなり、にがりを主に使うか、ほかの凝固剤と一緒に使うとマグネシウムが多くなります。豆乳を固めるために加える材料の違いが、できあがった豆腐の成分にも表れるのです。

可食部100gあたりで比べる

下の表は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに、可食部100gあたりのカルシウム量を並べたものです。木綿豆腐と絹ごし豆腐には、凝固剤を区別しない区分と、塩化マグネシウム(にがり)・硫酸カルシウム(すまし粉)を使った区分があります。表の「成分表に記載なし」は、成分表の食品名に凝固剤名が書かれていないことを示しています。これらも、豆乳を固める材料は使っています。成分表がその種類を区別せずに載せているためで、この行から使われた凝固剤を一つに特定することはできません。充てん豆腐は凝固剤別に分かれていないため、収載されている一つの値を載せています。

豆腐の種類・凝固剤区分別のカルシウム(可食部100gあたり)
食品カルシウム(mg)
木綿豆腐(凝固剤:成分表に記載なし)93
木綿豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)40
木綿豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム)150
絹ごし豆腐(凝固剤:成分表に記載なし)75
絹ごし豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)30
絹ごし豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム)120
充てん豆腐(凝固剤:成分表に記載なし)31

同じ木綿豆腐の三つの行を見比べると、すまし粉で固めた区分のカルシウムは、にがりで固めた区分の3倍以上あります。絹ごし豆腐でも同じように、すまし粉の区分のほうがにがりの区分よりはっきり多い値です。前の節で見た「すまし粉を主に使うとカルシウムが多くなる」という説明が、同じ名前の豆腐の中の違いとして表に表れています。凝固剤を特定しない木綿と絹ごしの値は、どちらもこの二つの区分の間にあります。なお、これらは成分表に載っている食品の値で、市販の豆腐一つひとつの量を示すものではありません。

固める材料の表示にも目を向ける

こうした作り方の違いに加えて、カルシウムの量は、同じ木綿や絹ごしでも、すまし粉の区分とにがりの区分で大きく違っていました。商品の原材料表示に「硫酸カルシウム」や「塩化マグネシウム」と書かれていたら、それは今回比べた固める材料の名前です。木綿か絹ごしかという種類に加えて、この表示にも目を向けると、カルシウムの違いを知る手がかりになります。

※食品・栄養素の参考資料
食品・成分:木綿豆腐
食品・成分:木綿豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)
食品・成分:木綿豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム)
食品・成分:絹ごし豆腐
食品・成分:絹ごし豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム)
食品・成分:絹ごし豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム)
食品・成分:充てん豆腐
栄養素:カルシウム
凝固剤の区分と成分への影響:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
豆腐の製法:農林水産省 にっぽん伝統食図鑑