著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:Adolescencia e Saude

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

超加工食品とは、袋入りスナック、砂糖入り飲料、菓子、インスタント食品など、工業的に加工された成分や添加物を主な材料とし、手軽さや保存性、おいしさを高めるよう作られた食品を指します。こうした食品は若い世代の食生活で存在感を増しており、心の健康や睡眠との関係にも関心が向けられています。

思春期は、食習慣や睡眠のリズム、感情の調整、物事を計画し衝動を抑える「実行機能」が発達していく時期です。研究チームは、インドの首都デリーで学校に通う10〜19歳を対象に、超加工食品の摂取と、胃腸の症状、睡眠の質、実行機能、不安、抑うつ症状、生活の質との関連をまとめて調べました。著者らは、これまでの研究ではこれらの項目が個別に扱われることが多かったと指摘しています。さらに、胃腸の症状・睡眠・実行機能が、超加工食品と心の状態との関係を統計的に「仲立ち」しているかどうかも探索的に検討しました。

何をどのように調べたか

研究は、ある一時点で200人の生徒にデータを集める横断研究として行われました。超加工食品の摂取量は、インドの食事に合わせて調整した食物摂取頻度の質問票で評価しました。この質問票は、食品を加工の度合いで分類する「NOVA分類」に基づいています。胃腸の症状、睡眠の質、不安、抑うつ症状、生活の質は、それぞれ確立された質問紙で測りました。実行機能は、色の名前と文字の色が食い違う単語を見て色を答える「ストループ課題」などで評価しています。

分析では、まず超加工食品の摂取と各項目との相関を調べました。そのうえで「媒介分析」を行いました。これは、ある要因と結果との関係の一部が、別の要因を経由した間接的な結びつきとして説明できるかを統計的に確かめる手法です。

主な結果

参加者が1日に摂るエネルギーのうち、超加工食品に由来する割合は平均で約38.7%でした。ただし個人差は大きく、12.6%から63.9%まで幅がありました。

論文によると、超加工食品の摂取が多い生徒ほど、胃腸の症状が多く、不安や抑うつ症状も強い傾向がありました。中でも胃腸の症状との相関が最も強く、次いで不安との相関が目立ちました。抑うつ症状との相関は比較的弱いものでした。著者らは、摂取の多さが睡眠の質や実行機能の低さ、生活の質の低さとも関連していたと報告しています。

媒介分析では、超加工食品と不安との関係、そして超加工食品と生活の質との関係の両方で、胃腸の症状が統計的な仲立ちとなっていました。ストループ課題の成績も、不安との関係では仲立ちとなっていました。一方、睡眠の質は超加工食品の摂取とは関連していたものの、不安・抑うつ・生活の質のいずれについても仲立ちとしての役割は確認されませんでした。

この研究が示すこと

この研究は、デリーの中高生において、超加工食品を多く摂ることが胃腸の不調や不安などと同時に見られる傾向を示しました。また、そうした関連の一部が胃腸の症状を介した形で現れることも示しています。著者らは、腸と脳が互いに影響し合うという「腸脳相関」の考え方に沿う結果だとしています。ただし、この研究で測ったのは自己申告による症状です。腸内細菌や炎症といった体内の仕組みは直接調べていません。

また、データを一時点で集めた研究なので、超加工食品が不調を引き起こしたという因果関係は示されていません。著者らはこの点を限界として明記しています。思春期の心の健康を考える際に、食事や胃腸の状態も合わせて見ていく視点の大切さを、この研究は示しています。

原著論文の著者・所属:Jasjot Padam(Research Scholar , Grade 10)、Aakanksha Mehta(Assistant Professor of Clinical Psychology , Department of Pediatrics , Maulana Azad medical college , Delhi ,)、Paakhi Garg(Consultant Psychologist , Zenre Wellness , Delhi)、Dr Abinav Tewari(Specialist Psychiatrist , Central Jail 3 , Tihar prisons , Delhi ,)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jasjot Padam, Aakanksha Mehta, Paakhi Garg, et al. The Impact Of Ultra-Processed Food Consumption On Gut Health, Executive Functioning, Sleep, And Mental Wellbeing Among School-Going Adolescents In Delhi. Adolescencia e Saude 2026-08-17. DOI: 10.67440/ahj.v21i6s.1650. 原著ライセンス:CC BY.