著者の所属・活動拠点の国は、エチオピア、ノルウェーです。

掲載誌:Scientific Reports

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

ハンバーガーやスナック菓子、清涼飲料水のように、工業的な加工を重ねてつくられる「超加工食品」は、世界的に消費が拡大していると指摘されています。所得の低い国や中程度の国では、食生活が急速に変化する中で、若い世代がこうした食品にどの程度触れているのかがまだよくわかっていません。今回紹介する研究は、エチオピアの都市部に暮らす中高生を対象に、超加工食品の摂取実態と食事全体の質を調べたものです。

誰を対象に、どのように調べたのか

研究チームは、エチオピア・アダマ市の中学・高校(9〜12学年)に通う713人の生徒を対象に、2024年10〜11月にデータを収集しました。この調査は、より大規模な準実験研究の出発点となるベースライン(介入前の基準値)調査として実施されています。食事の内容は「Diet Quality Questionnaire」と食物摂取頻度調査(FFQ)を用いて把握され、食品はNOVA分類という国際的な仕組みに沿って、未加工・最小加工品から超加工食品まで区分されました。超加工食品の摂取は「過去24時間以内に超加工食品を1品目以上食べたかどうか」で定義され、食事の質は世界的な栄養ガイドラインへの適合度を点数化する「Global Dietary Recommendation(GDR)スコア」(0〜18点、高いほどガイドラインに沿った食事とされる)で評価されました。

研究でわかったこと

過去24時間以内に超加工食品を摂取したと回答した生徒は41.9%(95%信頼区間38.3〜45.6%)にのぼり、週単位でみると94%が超加工食品を口にしていたと報告されています。具体的によく食べられていたのは、揚げたスナック類、ケーキ、砂糖入りの清涼飲料水でした。GDRスコアの平均値は11.6点(標準偏差1.4)で、満点の18点に対しては中程度の水準にとどまっていました。

超加工食品の摂取は、最終学年にあたる12学年の生徒や、身体活動が活発な生徒で多くみられた一方、栄養に関する知識が豊富な生徒では少ない傾向が示されました。また、中所得層の家庭出身の生徒はGDRスコアが高い傾向がみられましたが、学年・身体活動・栄養知識・世帯収入などをまとめた統計モデルで説明できた食事の質のばらつきはごくわずかで、決定係数(R²)は0.027にとどまったと報告されています。つまり、なぜ食事の質に差が出るのかは、今回調べた要因だけでは十分に説明しきれなかったということです。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、より大きな介入研究の出発点として集められたデータであり、今回紹介した結果は「介入を行う前の基準状態」を示すものです。横断的な調査であるため、超加工食品の摂取と食事の質の低下との間に因果関係があるとまでは言えません。また、対象は都市部の中高生に限られており、農村部や他の年齢層にそのまま当てはめられるものではない点にも注意が必要です。今回の情報の中には日本の研究機関や日本の食習慣に関する言及は含まれていません。あくまで一つの研究であり、結論が確定したわけではない点を踏まえて読んでいただければと思います。

まとめ

エチオピアの都市部に暮らす中高生の間で、超加工食品への日常的な接触がすでに広がっている実態が、この研究によって示されました。学年や身体活動、栄養知識、世帯の所得水準といった要因との関連もみられましたが、食事の質を左右する背景はそれだけでは説明しきれず、複雑であることもうかがえます。今後、この基準データをもとにした介入研究の展開が注目されます。

原著論文の著者・所属:Kefyalew Taye Belete(Department of Public Health, College of Health Sciences and Referral Hospital, Ambo University, Ambo, Ethiopia)、Simon Nitter Dankel(Centre for Nutrition, Department of Clinical Science, University of Bergen, Bergen, 5020, Norway)、Tafese Bosha(School of Nutrition, Food Science and Technology, College of Agriculture, Hawassa University, Hawassa, Ethiopia)、Gudina Egata(Department of Public Health Nutrition and Dietetics, School of Public Health, College of Health Sciences, Addis Ababa University, Addis Ababa, Ethiopia)

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。出典(原著論文):Kefyalew Taye Belete, Simon Nitter Dankel, Tafese Bosha, et al. Ultra-processed food consumption and diet quality among adolescents in urban Ethiopia: baseline findings from a school-based study. サイエンティフィック・リポーツ (2026). DOI: 10.1038/s41598-026-68004-9. 原著ライセンス: cc-by.