著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。

掲載誌:Pediatric Obesity

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

超加工食品とは、工業的な工程で複数の原材料を組み合わせて作られ、そのまま、または温めるだけで食べられる食品です。スナック菓子、甘い飲料、加工肉などが含まれます。論文によると、米国ではこうした食品が摂取エネルギーのかなりの部分を占めており、多く食べることと肥満などの健康上の問題との関連がこれまでに報告されています。

研究チームが注目したのは「実行機能」です。実行機能とは、目標に向けて考えや行動を調整する働きのことです。情報を一時的に覚えて操作する「ワーキングメモリ」、反射的な反応を抑える「抑制」、状況に応じてやり方を切り替える「認知の柔軟性」などがあります。著者らによれば、子どもの超加工食品の摂取と実行機能の関係を調べた研究は少なく、特に肥満の子どもとその親を同時に調べた研究はほとんどありませんでした。

そこで研究チームは、子どもの体重管理プログラムへの参加を希望した親子を対象に、超加工食品の摂取量と実行機能の三つの側面との関係を調べました。あわせて、親と子の超加工食品の摂取量が互いに関連しているかも検討しました。

何をどのように調べたか

対象は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で行われた体重管理の臨床試験に参加した141組の親子です。分析には、介入が始まる前に集めたデータを使いました。子どもは8〜12歳で、年齢・性別に照らして過体重から肥満の範囲にあり、親もBMIが25以上でした。

食事は、栄養士が電話で聞き取る「24時間思い出し法」で、平日2日と休日1日の計3日分を調べました。食品は、加工の程度で4段階に分ける「NOVA分類」に当てはめ、総摂取エネルギーのうち超加工食品が占める割合を算出しました。超加工食品は全体としてだけでなく、甘い飲料、菓子・デザート、塩味のスナック、加工肉、穀類製品などの種類ごとにも分析しました。

実行機能は三つの課題で測りました。ワーキングメモリは、読み上げられた数字の列を逆の順番で答える課題で評価しました。抑制は、画面の記号に素早く反応しつつ、合図の音が鳴ったら反応を止める課題で評価しました。認知の柔軟性は、途中で知らされずに変わる規則に合わせてカードを分類する課題で評価しました。分析では、年齢、性別、人種、収入、学歴、体格、身体活動量の影響を考慮しています。

主な結果

超加工食品は、子どもの摂取エネルギーの平均61%、親では平均約54%を占めていました。親子の関連を見ると、総摂取エネルギー、超加工食品全体、塩味のスナック、加工肉、甘い飲料では、親の摂取量が多いほど子どもの摂取量も多い傾向がありました。ただし関連の多くは弱いか中程度で、比較的強かったのは加工肉だけでした。穀類製品や乳製品などでは、親子の関連は見られませんでした。

超加工食品と実行機能の関係については、調べた組み合わせの大半で一貫した関連は見られませんでした。その中で、子どもでは超加工の肉製品からのエネルギー割合が高いほど、数字を逆順に答える課題の得点が低いという、小さいながら統計的に有意な関連がありました。親では、超加工の甘い飲料の摂取が多いほど、反応を止める課題で止められなかった割合が高く、抑制の働きが弱い傾向が見られました。

著者らは、いずれも一時点のデータに基づく結果であり、因果関係は示せないと述べています。また、対象が治療を希望する過体重・肥満の親子に限られるため、ほかの集団にそのまま当てはまるとは限らないとしています。さらに、食事の自己申告による誤差や、食品分類の難しさなどにより、結果は慎重に解釈する必要があるとしています。

研究から見えること

この研究は、肥満治療を希望する親子では、超加工食品が食事の半分以上を占めていることを示しました。一方で、超加工食品と実行機能の間に広く一貫した関連は見られず、関連が見られたのは子どもの加工肉と親の甘い飲料という一部の食品に限られていました。超加工食品と思考や行動の調整力との関係は、食品の種類によって異なる可能性があり、単純には語れないことがうかがえます。

原著論文の著者・所属:Ingrid Rivera‐Iñiguez(Department of Pediatrics University of California San Diego San Diego California USA)、David R. Strong(Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity Science University of California San Diego San Diego California USA)、Kyung E. Rhee(Department of Pediatrics University of California San Diego San Diego California USA)、Dawn M. Eichen(Department of Pediatrics University of California San Diego San Diego California USA)、Kerri N. Boutelle(Department of Pediatrics University of California San Diego San Diego California USA; Department of Psychiatry University of California San Diego San Diego California USA; Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity Science University of California San Diego San Diego California USA)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ingrid Rivera‐Iñiguez, David R. Strong, Kyung E. Rhee, et al. Associations of Ultra‐Processed Foods and Executive Function in Children With Obesity and Their Parents: A Cross‐Sectional Study. Pediatric Obesity 2026-08-01. DOI: 10.1111/ijpo.70143. 原著ライセンス:CC BY.