著者の所属・活動拠点の国は、カザフスタンです。
掲載誌:Bulletin of Shakarim University Technical Sciences
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ヨーグルトなどの発酵乳では、生きた乳酸菌の数が品質や機能性を示す重要な指標とされています。著者らが紹介する既存の知見では、プロバイオティクスとしての効果がはっきり現れるには、保存期間を通じて製品1グラムあたり少なくとも10の7乗個の生きた菌が必要とされています。一方で、保存中に酸が増えたり、たんぱく質の構造が変わったりすることで、生きた菌の数は次第に減っていきます。
そこで注目されているのが、水に溶けるタイプの植物由来の食物繊維です。この種の繊維はヨーグルトにとろみや保水性を与えるとともに、乳酸菌の栄養源になりうると考えられています。研究チームは、水溶性の植物由来食物繊維が、保存中のヨーグルトで乳酸菌の生残と微生物学的な安定性にどう影響するかを評価することを目的としました。
何を調べたか
研究チームは、脂肪分1.0%の殺菌牛乳を原料に、ストレプトコッカス・サーモフィルスとラクトバチルス・ブルガリクスという2種類の乳酸菌を含むスターターでヨーグルトを作りました。水溶性の植物由来食物繊維を0.3%、0.5%、1.0%(乾物換算)加えた試料と、繊維を加えない対照試料を用意し、すべてを4±2℃で14日間冷蔵保存しました。
保存1日目、7日目、14日目に試料を段階的に薄め、乳酸菌の培養に使われる培地で育ててできた集落(コロニー)の数を数えました。これにより、1グラムあたりの生きた菌の数を対数(log CFU/g)で表しています。対数で8は10の8乗個、7は10の7乗個に相当します。実験は3回ずつ繰り返され、統計的な差の有無も確かめられました。
主な結果
すべての試料で、保存期間が進むにつれて乳酸菌の数は少しずつ減りました。ただし、減り方は繊維を加えた試料の方が小さいという結果でした。対照試料では1日目の8.5から14日目には7.6まで、対数値で0.9減少しました。これに対し、0.5%の繊維を加えた試料では8.7から8.1への0.6の減少にとどまり、14日目の値は対照より統計的に有意に高かったと報告されています。0.3%の試料の減少は0.7、1.0%の試料は0.6でした。
また、すべての試料で、14日目まで生きた菌の数が10の7乗個以上という目安を上回っていたとされています。繊維の添加が乳酸菌の増殖を妨げることはなかったとも述べられています。
著者らは、繊維による保護の仕組みとして、ゲル状の構造の中で菌が保持されること、水分を多く保つことで菌にとって好ましい環境ができること、多糖類が菌の利用できる栄養源になることを挙げています。
研究が示すこと
1.0%でも高い安定性が見られましたが、著者らは、構造が密になりすぎて食感などの官能的な性質が損なわれる可能性を指摘しています。そのため、乳酸菌の安定性、製造上の性質、食べる人にとっての品質のバランスが最もよいのは0.5%だと結論づけています。
この研究は、水溶性の植物由来食物繊維を少量加えたヨーグルトで、冷蔵保存中の乳酸菌の減少が対照より小さかったことを報告したものです。発酵乳の中で生きた乳酸菌の数を保つ方法の一つとして、食物繊維の添加が役立ちうることを示しています。
原著論文の著者・所属:G. Yussupova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、Zh. Shadyarova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、A. Itbalakova(Zhetysu University named after I. Zhansugurov)、S. Toleubekova(Shakarim University)、M. Iztileuov(Almaty Technological University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):G. Yussupova, Zh. Shadyarova, A. Itbalakova, et al. EFFECT OF SOLUBLE PLANT DIETARY FIBER ON THE VIABILITY OF LACTIC ACID BACTERIA IN FUNCTIONAL YOGURT. Bulletin of Shakarim University Technical Sciences 2026-07-29. DOI: 10.53360/2788-7995-2026-2(22)-35. 原著ライセンス:CC BY.