著者の所属・活動拠点の国は、ポーランドです。
掲載誌:Science Technology and Innovation
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
鉛やカドミウムのような重金属は毒性が強く、生物の体内にたまりやすいため、食品を通じて食物連鎖の中で蓄積していくことが世界的な食品安全上の課題とされています。研究チームは、身近な食材であるジャガイモに注目し、こうした金属がイモの中でどのように分布しているかを調べました。
この研究は、パイロットスタディ(本格的な研究に先立つ予備的な調査)として位置づけられています。目的は、イモの表面から内部までの深さごとに金属の分布を調べ、皮をむくといった調理の下ごしらえが有害な金属の摂取を減らすのにどの程度役立つかを評価することでした。
何を調べたか
対象とした金属は4種類です。毒性が非常に高い鉛とカドミウム、それらに比べて毒性がはるかに低いアルミニウム、そして生体に必要な微量栄養素である銅です。
試料には、ポーランド南部で人気のある3品種「ソラヤ」「ヴィネタ」「ジェリー」を用い、タルヌフの市場で入手できるものを分析しました。イモの組織を酸などで分解して溶液にする「湿式分解」を行ったうえで、黒鉛炉原子吸光分析法と呼ばれる、微量の金属を高感度に測定できる方法で各金属の量を測りました。分析の正確さは、成分量があらかじめ保証された標準物質を使って確認したと報告されています。
主な結果
著者らが特に注目すべき結果として挙げているのは、機械的に皮をむくことで鉛への曝露は効果的に抑えられる一方、カドミウムの量はあまり減らないという点です。
皮むきによって、鉛の含有量は69.0〜82.0%、アルミニウムは96.8〜98.6%と大きく減少しました。論文によると、これらの金属はいずれもイモの最も外側にある周皮(皮にあたる層)に強く蓄積していたためです。アルミニウムの分布の仕方は、鉛と似た傾向を示したとされています。
これに対してカドミウムは、イモの内部組織全体に広く移動しやすい性質を示し、皮をむいた後の濃度の低下は5.6〜36.1%にとどまりました。
この研究が示すこと
この予備的な調査からは、同じ有害金属でも種類によってイモの中での分布が異なり、皮むきという身近な下処理の効果も金属ごとに大きく違うことが見えてきます。鉛やアルミニウムのように外側に集まる金属では皮むきが有効である一方、内部まで行き渡るカドミウムでは同じ効果が期待しにくいという結果は、食品の安全性やリスク評価を考えるうえで、金属の種類ごとの違いを踏まえる必要があることを示しています。
原著論文の著者・所属:Michał Marek(University of Applied Sciences in Tarnow, Faculty of Chemistry and Natural Sciences, Department of Chemistry, Mickiewicza 8 St., 33-100 Tarnów, Poland)、Dominik Zdzieszyński(University of Applied Sciences in Tarnow, Faculty of Technical Sciences, Department of Materials Engineering, Mickiewicza 8 St., 33-100 Tarnów, Poland)、Piotr Simajchel(University of Applied Sciences in Tarnow, Faculty of Technical Sciences, Department of Materials Engineering, Mickiewicza 8 St., 33-100 Tarnów, Poland)、Krzysztof Kleszcz(University of Applied Sciences in Tarnow, Faculty of Chemistry and Natural Sciences, Department of Chemistry, Mickiewicza 8 St., 33-100 Tarnów, Poland)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Michał Marek, Dominik Zdzieszyński, Piotr Simajchel, Krzysztof Kleszcz A preliminary study on the spatial distribution of lead, cadmium, aluminium, and copper in different potato (Solanum tuberosum L.) varieties — implications for food safety and risk assessment. Science Technology and Innovation 2026-08-18. DOI: 10.55225/sti.743. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。