著者の所属・活動拠点の国は、ドイツです。
掲載誌:Food Microbiology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
調理済みの料理を届ける宅配やテイクアウトは、多くの国で利用が広がっています。こうした食事は、運ばれたり置かれたりする間に、温度や時間がさまざまな条件にさらされます。研究チームは、容器の形と保存の条件が、焼いた豚肉の微生物面での安全性や品質にどう影響するかを調べました。特に注目したのは、汚染された肉や容器、付け合わせから、ほかの食品へ菌が移る「交差汚染」です。
何を調べたか
容器は、ふたのない「開放型」、一部が開いた「半開放型」、ぴったり閉じる「密閉型」の3種類を比べました。保存温度は6℃、20℃、30℃の3通りで、保存時間は30分、2時間、24時間としました。
まず、菌を付けていない焼いた豚肉では、総菌数が測れる下限である1グラムあたり0.7 log CFU(菌の数を対数で表した単位)を一貫して下回りました。著者らは、これにより、菌を付ける前の加熱が十分だったことを確認したと報告しています。
そのうえで、肉か容器の表面のどちらかに、大腸菌、ブロコトリクス・サーモスファクタ、エルシニア・エンテロコリチカのいずれかを付けました。ブロコトリクス・サーモスファクタは肉を傷ませる菌として、エルシニア・エンテロコリチカは食中毒の原因菌として知られています。さらに、セレウス菌を付けたパスタを、菌を付けていない肉と一緒にしました。セレウス菌は、セレウリドと呼ばれる毒素を作ることがある細菌です。
主な結果
著者らによると、菌の増え方は保存温度、保存時間、容器の種類のいずれからも大きな影響を受けました。20℃や30℃で保存すると、とりわけ24時間置いた場合に、6℃で保存した場合より菌の数がはっきり多くなりました。
容器については、半開放型と密閉型で、開放型より菌が増えやすく、セレウリドも作られやすい傾向が報告されています。また、保存中に容器やパスタから肉へ菌が移る交差汚染も確認されました。
研究が示すこと
研究チームは、保存時間を短くし、冷蔵し、密閉しない容器を使うことで、菌の増殖と毒素の生成を効果的に抑えられたと結論づけています。著者らはこの結果から、調理済み食品では容器選びと、冷やして短時間で保存することが重要だと述べています。その理由として、病原菌や腐敗の原因菌の増殖を抑えるためだけでなく、作られてしまうと後から温め直しても取り除けない安定した毒素を防ぐためにも必要だと強調しています。
原著論文の著者・所属:Anahita Arki(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Nadja Jessberger(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Manar Albahri(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Karl Rohn(Institute of Biometry, Epidemiology and Information Processing, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hanover, 30173, Germany)、Barbara Lemke(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Darleen Röpper(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Madeleine Plötz(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany)、Lisa Siekmann(Institute of Food Quality and Safety, University of Veterinary Medicine Hannover, Foundation, Hannover, 30173, Germany. Electronic address: [email protected])
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anahita Arki, Nadja Jessberger, Manar Albahri, et al. Impact of takeaway packaging and storage conditions on microbial safety and cereulide production in grilled pork. Food Microbiology 2026-08-06. DOI: 10.1016/j.fm.2026.105261. 原著ライセンス:CC BY.