著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Food Chemistry X

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

緑茶の製造には、茶葉の形を整える「成形」と呼ばれる工程があります。研究チームによると、この工程は茶の香りや味わいといった官能的な品質に大きく影響します。

この研究では、中国の緑茶である信陽毛尖を対象に、成形の方法によって茶の品質や含まれる成分がどう変わるかを調べました。

何を調べたか

比較したのは4つの方法です。成形を行わない「ノーシェイピング(NS)」と、「チャオティアオ(CT)」「パイバー(PB)」「リーティアオ(LT)」と呼ばれる3種類の成形方法です。

研究チームは、人が実際に香りや味を評価する官能評価に加え、茶葉の化学的な性質の測定を行いました。さらに、気体になりやすい香りの成分をGC-MS、気体になりにくい味などに関わる成分をLC-MSという分析装置で調べました。

主な結果

論文によると、4つの方法のうち最も大きな変化をもたらしたのはCTでした。CTで仕上げた茶では、栗や豆のような香りとうま味が強まり、苦味と渋味は弱まりました。

成分の面では、CTの茶は湯に溶け出す成分の量(水浸出物)と遊離アミノ酸が最も多く、カテキンのうちエステル型と呼ばれる種類は、成形しない茶と比べて約15%多くなっていました。

香りの成分を調べると、CTではピラゾール類などの複素環化合物が増え、テルペン類が減っていました。味に関わる成分では、うま味を高めるとされるアミノ酸が2〜3個つながった小さなペプチドが増え、渋味に関わるフェノール化合物(たとえばカフェ酸)が減っていました。

LTでは、小さなペプチドやフェノール配糖体が全体的に蓄積しており、著者らはこれがより豊かな口当たりや甘い後味につながると説明しています。一方、PBと成形しない茶では、変化は限られていました。

研究が示すこと

著者らは、CTが茶葉への物理的な作用と成分の変化を結びつけ、栗や豆のような好ましい特徴を生み出す方法であると結論づけています。この研究は、成形の方法を選ぶことで緑茶の香りや味を狙って変えるための基礎となる知見を示しています。

原著論文の著者・所属:Jinlei Luo(School of Tea Science, Xinyang Agriculture and Forestry University, Key Laboratory of Development and Utilization of Tea and Characteristic Plant Resources in South Henan, Xinyang, Henan, China)、Yi Chen(School of Tea Science, Xinyang Agriculture and Forestry University, Key Laboratory of Development and Utilization of Tea and Characteristic Plant Resources in South Henan, Xinyang, Henan, China)、Lingzhi Chen(School of Tea Science, Xinyang Agriculture and Forestry University, Key Laboratory of Development and Utilization of Tea and Characteristic Plant Resources in South Henan, Xinyang, Henan, China)、Peng Yin(School of Tea Science, Xinyang Agriculture and Forestry University, Key Laboratory of Development and Utilization of Tea and Characteristic Plant Resources in South Henan, Xinyang, Henan, China)、Guiyi Guo(School of Tea Science, Xinyang Agriculture and Forestry University, Key Laboratory of Development and Utilization of Tea and Characteristic Plant Resources in South Henan, Xinyang, Henan, China)、Zhihui Wang(Jiangxi Cash Crops Research Institute, Nanchang, Jiangxi, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jinlei Luo, Yi Chen, Lingzhi Chen, et al. Effects of different shaping processes on the quality, volatile and non-volatile metabolites of Xinyang Maojian green tea. Food Chemistry X 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.fochx.2026.104722. 原著ライセンス:CC BY.