この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:AcTion Aceh Nutrition Journal
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を明らかにしようとした研究か
魚を原料にした加工品は、保存している間に脂質(あぶら)が空気中の酸素と反応して劣化していきます。これを脂質酸化と呼び、風味の低下や品質の劣化につながります。特に、カワカマス科の淡水魚であるスネークヘッド(学名 Channa striata、インドネシアなどで食用にされる魚)は不飽和脂肪酸を含み、酸化を受けやすい性質があります。
研究チームは、このスネークヘッドのすり身から作ったソーセージについて、包装フィルムの材質と真空包装の有無が脂質酸化にどう影響するかを調べました。これまでの研究の多くは生の魚や切り身を対象としており、すり身を練って作るタイプの製品についての知見は限られていた、と著者らは述べています。また、小規模な加工業者は設備や費用の制約から入手しやすい包装方法に頼ることが多いため、実用的な条件で検証する意義があるとしています。
どのように調べたか
研究は2025年3月から8月にかけて、インドネシア・ジャヤプラの保健ポリテクニックの食品実験室などで行われました。センタニ湖で獲れたスネークヘッドを原料に、すり身70%とタピオカ粉28%、塩やにんにく粉などの調味料を混ぜてソーセージを製造しています。
比較したのは、包装材料2種類(低密度ポリエチレン[PE]と無延伸ポリプロピレン[PP])と、包装方法2種類(真空・非真空)の組み合わせ、合計4群です。製造ロットを7回分独立に用意して繰り返しとし、すべての試料を10±2℃で30日間保存しました。この温度は一般的な冷蔵よりやや高く、著者らは冷蔵設備が十分でない流通現場で起こりうる温度条件を想定したものだと説明しています。
酸化の程度は、TBARS法という測定で評価しました。これは脂質酸化が進んだ後に生じる二次生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)の量を測る方法で、値が大きいほど酸化が進んでいることを示します。測定は保存0、5、10、15、20、25、30日目に行われました。
報告された主な結果
TBARS値は、どの群でも保存日数が経つにつれて一貫して上昇しました。包装前の出発点となる値は7ロットの平均で0.071 mg MDA/kgでした。
真空包装の効果は、すべての測定日で統計的に有意でした(p≤0.003)。効果の大きさを表す指標(偏イータ二乗)は0.317から0.826の範囲で、どの測定日でも包装材料による効果を上回っていました。一方、包装材料の違いが有意だったのは5日目、10日目、30日目に限られ、その場合はPPのほうがPEより低い値を示しました。
30日目に最も低い値を示したのはPP+真空の組み合わせで0.374 mg MDA/kg、最も高かったのはPE+非真空で0.436 mg MDA/kgでした。ただし、包装材料と真空包装の交互作用はどの測定日でも有意ではなく、著者らは、この2つの要因は独立に働いたのであって、両者を組み合わせることで相乗効果が生じたことを示すものではないと述べています。
この結果が示すこと
著者らは、今回の条件下では、真空包装による酸素の遮断が脂質酸化を抑えるうえで主要な要因だったと結論づけています。包装材料の違いも一部の日で差を生みましたが、その影響は時期によって変動しました。
同時に著者らは、この研究が測定したのは脂質酸化の二次生成物だけであることを繰り返し強調しています。微生物の検査や官能評価(味やにおいの評価)、栄養成分の保持については調べておらず、今回の値から賞味期限や微生物学的な安全性を推し量ることはできないとしています。特に10±2℃という保存温度は通常の商業冷蔵より高く、酸化とは別に微生物が増える可能性がある条件だと注記されています。
こうした限定はあるものの、この研究は、特別な資材や設備を必要としない真空包装という身近な方法が、魚肉ソーセージの脂質酸化を抑える現実的な手立てとして働きうることを、実験的なデータで示したものといえます。
著者:Budi Kristanto(Department of Nutrition, Politeknik Kesehatan Jayapura)、Sri Iriyanti(Department of Nutrition, Politeknik Kesehatan Jayapura)、Nia Budhi Astuti(Department of Nutrition, Politeknik Kesehatan Jayapura)、I Gusti Putu Sudita Sudita Puryana(Department of Nutrition, Politeknik Kesehatan Denpasar)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Budi Kristanto, Sri Iriyanti, Nia Budhi Astuti, I Gusti Putu Sudita Sudita Puryana Effects of packaging material and vacuum sealing packaging on TBARS values lipid oxidation in snakehead fish (Channa striata) sausages stored at 10 ± 2 °C. AcTion Aceh Nutrition Journal 2026-09-16. DOI: 10.30867/action.v11i3.3345. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。